人は一輪の花を踏めるほど悪くも強くもない。
- ★★★ Excellent!!!
三十年幽閉され続けてきた女性は、事あるごとに自分を外に出してほしいとお願いする。
それは日常会話。守り人である僕が断ると、彼女は悪態をついて内での生活に戻る。
高貴な身分であること以外、一切が謎の女性、アヤメ。
今まで観察し続けたが、彼女が悪いとは全く思えず――
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「良心に訴えかける」とでも言えばよいのだろうか。
月並みな表現だが「向日葵のような女性」が幽閉されているシチュエーションを想像させられる。
陽の光も満足に当たらない一室で、それでも気丈に咲こうとする様子がどことなく痛々しい。
主人公の苦悩は、彼女を花と認識してしまったこと、そして、花と知りながら踏まなければならないことにあった。
それだけの悪さも強さも、一般人は持ち合わせていないのだ。