第2話「カイカン(快感)」



1. **ユーザーのリアクション**:

* 「新競技:早撃ちリボルバー」に対して、「栄光と挫折を同時に味わう!カイカン!!」という、あの有名な映画『セーラー服と機関銃』の名台詞(薬師丸ひろ子)をオマージュした感想。

* この「カイカン(快感)」というキーワードを軸に、この競技の**中毒性**や**悲哀**、そして**バカバカしさ**をさらに掘り下げる。


2. **コンセプトの深化**:

* **栄光**: 弾を最速で装填し、ターゲットをぶち抜いた瞬間のドーパミン全開状態。

* **挫折**: 弾を落とす、ローリングで目を回す、認可が下りない現実、世間の冷ややかな目。

* これらが「同時」に来るのが、この競技の醍醐味。


3. **アイデア出し**:

* 「カイカン」な瞬間とは? → シリンダーを回して「ジャキッ」と納める音。硝煙の匂い。

* 「挫折」な瞬間とは? → 弾がコロコロ転がっていくのを見つめる虚無感。筋肉痛。

* 競技者のメンタリティ:アドレナリン中毒。


4. **構成(エピソード風に)**:

* 主人公の独白スタイル。

* 競技中のハイな状態描写。

* ミスった時の絶望描写。

* それでもやめられない「カイカン」。


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### 競技者インタビュー:『栄光と挫折の0.1秒』


「やめられないんですよ、ええ。たとえIOCに鼻で笑われてもね」


全日本早撃ちリボルバー選手権、3連覇中の王者(無職・34歳)は、愛用のS&W M19の銃身を磨きながら語る。


「スタートの合図と共に、地面を転がるんです。泥だらけになって、息を切らして。そこで目の前にあるのは、直径わずか1センチのシリンダーの穴と、冷たい金属の弾丸」


彼は遠い目をした。


「指は震えますよ。心臓はバクバク言ってる。観客の視線、ライバルの息遣い……極限のプレッシャーです」


「そこでね、弾がスルッと……まるで吸い込まれるように6発、全て収まった時のあの感触。そして、シリンダーを『ジャキッ!』とスイング・インして、ターゲットを撃ち抜く瞬間……」


王者は恍惚の表情で天を仰いだ。


**「カ・イ・カ・ン……」**


「脳内で脳内麻薬がドバドバ出るんです。『俺は今、世界で一番速いガンマンだ』ってね。まさに栄光の頂点です」


しかし、王者の表情は一瞬で曇った。


「でもね、その直後に挫折が来るんです」


「弾を1個でも落としてごらんなさい。あの小さな金属の塊が、スローモーションで床をコロコロ転がっていく絶望感。それを這いつくばって拾う時の、自分のみじめさ」


「それに何より……大会が終わって家に帰った時ですよ」


王者は苦笑いした。


「泥だらけのジャージで、モデルガン抱えて帰宅して、妻に『また銀行強盗ごっこ? 就職活動はどうしたの?』って言われた時の、あの挫折感」


「世界一速く弾を込められても、社会復帰のスピードは遅いままなんです」


それでも王者は、再びホルスターに銃を収めた。


「でも、また走り出しちゃうんですよね。あの『カイカン』を求めて。……用意、始め!」


彼は今日もまた、誰もいない河川敷で、一人ローリングを繰り返すのだった。


**(※注:この競技はフィクションであり、実弾は使用しませんが、社会的な痛みは実弾並みです)**

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『ローリング・リボルバー』 志乃原七海 @09093495732p

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