『気分は朝ドラ』③

荒野の高等遊民5号

第3話

第1章:運命の出会い(小学生編)

Scene 3:指切りの婚約


次の日。ひろみの部屋でゲームをする二人。


「ねぇ、昨日さ……一緒にお風呂入ったし、

キスもしたよね」

「えっ、う、うん……間違いじゃないね」


「だからさ、大人になったら結婚しようよ」

「えっ…結婚、大人って何歳?」

「ハタチくらい?」


「うん、..…そうしようか」

「指切りね!」

「ゆーびきりげんまん、うっそついたらハリセンボンのーます、ゆーびきった!」


「これって婚約したってこと?」

「そーだね!」


「ひろみちゃんは好きな人とかいないの?」

「いないよ。渉は?」

「俺もいない」


「じゃ、遠距離恋愛だね」

「うん……俺、獣医になるんだ」


「じゃ、あたしも獣医になる!」

「結構頭良くないと大学行けないらしいよ」


「そーなの!、あたしさー馬鹿でさー

       運動は得意なんだけどね」

「泳げなかったじゃん!」

「そー水泳苦手、一回溺れてさー」


「それじゃ、俺の勝だね。結婚したら

 ひろみちゃんにいっぱい働いて稼いて

           貰おうかなぁー」


「ぁっ、コノヤロー調子に乗るな!」

   二人は猫のようにジャレあった。


翌朝、渉は母親と一緒に北海道に

      帰るため船着き場にいた。

ひろみは、連絡船の船着き場に見送りに

行った。ほんの3日ほど遊んだだけなのに

別れが辛くて二人とも大泣きした。


ひろみは、出航した船を追いかけて

防波堤を全力で走って叫んだ。

「わーたーるー結婚しようねー」


渉の船は小さくなったが、いつまでも手を

振る渉がかすかに見えた。

小学校5年生の夏休みが終わった。


挿絵イラストあり(noteにリンク)

https://note.com/witty_gnu512/n/na6b2e62aff8d

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