0

概要

――模倣は、いつか本物に成る
人を観察するのが好きだった。

話し方、笑い方、息の速さ――すべてをノートに記録して「台本」と呼んでいた。
そうすれば、どんな人間にもなれると思っていた。

大学の演劇サークルで出会った“伊織”は、透にとって人間の理想形だった。
誰にでも優しく、嘘がなく、自然に笑える。
その完璧な呼吸を真似しているうちに、透の中の「俺」は少しずつ薄れていく。

ある日伊織が姿を消し、透は“伊織”として生き始める。
社会人になり、友人に囲まれて幸福そうに、穏やかな狂気の中で彼は笑う。

――模倣は、いつか本物に成る。

そして、誰も気づかないうちに“透”という人間は消えた。

幸福と崩壊がゆっくりと重なっていく、静かな心理幻想劇。
(小説家になろうでも掲示中)
  • 完結済12
  • 9,608文字
  • 更新
  • @B_Kyosaku

おすすめレビュー

★で称える

書かれたレビューはまだありません

この小説の魅力を、あなたの言葉で伝えてみませんか?

関連小説