第15話 休暇③

ホテルに着きミーティングを終え、俺たちは風呂に向かった。待ちわびた大浴場である。此処の風呂は露天風呂によりそとがとてもきれいに見える絶景スポットなんだ。


 石神井ダンジョンは時間軸が外と同じなため、まだ夕方で星空は見えない。だが、昼間の快晴と絶景もまた悪くない。


 「どうしたのゆーくん。もの思いにふけてますみたいな顔して。」


 「いや、綺麗だなぁと」


 「え、僕のことかい?照れるなぁもう」


 「うっさいわイケメンが。美少年フェイスのせいで外の絶景が霞むだろ。ほら、退いた退いた」


 「え~、美青年フェイスをもっと拝みたかったのに~」


 「そんなら鏡かかざっちの顔でも見ておけ」


 絶景を楽しもうと思っていたが、騒がしくてそれどころじゃないな。


 「なんか呼ばれた気がするんだけど、どうかしたの?」


 「かざっち、なんかさ~、ゆーくんが冷たい」


 「そう?いつも通りな感じするけど。あとはななちゃんが距離近くてうっとうしいんじゃない?


 「そんな、バッサリ言うことある?!結構傷つくけど!」


 「冗談だよ」


 「案外冗談じゃないかもしれんぞ、七瀬。悠一は何考えてるかわからんからな」


 かざっちに続き、タフガイのたかちゃんとキバも露天風呂に入ってきた。みんな疲れているようで、風呂に浸かっては「あ~」と声を出していた。


 「まじで疲れたぁ~。何日連続だっけ?ダンジョン攻略したの」


 「1か月行かないくらいだしな……だいたい、28日くらか?春休み前からも行ってたしな」


 「労基……労基に言おう……うちのパーティーはブラックだって」


 「労基ねぇ。戦うか?俺と」


 「ぐっ……やってやるよ、悠一!僕だって戦えるんだ!」


 「いや、法的に。いっつもノリノリで探索スキル使っては、お宝掘り出して高値でさばいてるの誰だっけなーと思ってさ」


 「いや~やっぱこのパーティー最高だね!福利厚生もしっかりしてるし雰囲気も素晴らしい。何より給料がいいよね!最高!僕このパーティーでよかった!」


 「手のひらくるっくるじゃねえかよ」


 「腱鞘炎になりそう」


 「まぁなんにしろ、今日は休みだ。目の前の絶景と風呂で癒されようぜ……」


 「だなぁ~……」


 「ほんっと、温泉って極楽だねぇ」


 「爺さんになっているんじゃないか?キバとかざっち」


 「「誰が老害だ!」」


 「そこまでは言ってないが……」


 キバとかざっちの唐突なボケに、たかちゃんが突っ込んでいる様子を眺めている。


 これを見るとたびたび思うのだが、かざっちとキバは息があってる気がするのは俺だけだろうか。いつもはまぁまぁ仲が悪いように見えるが、なんだかんだ楽しそうにやっているしな。


 まぁとりあえず、今日はしっかり休もう。そのためにまずはもちょこを撫でまわしに行くぞ。


 「じゃあ俺は先に上がるから、みんなはゆっくりしててくれ。じゃあまたディナーで」


 「あ、まって僕も上がるー。悠一、もちょこ見に行くつもりでしょ。ついてってもいい?」


 「おぉ、まぁ好きにしたらいいんじゃないか?自由時間だし」


 「おっけー、じゃあついてくね」


 「了解」


 そうして風呂を上がった俺とかざっちは、二人で「もちょこ」を撫でまわしに向かった。

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引っ込み思案な一般人、現代ダンジョンで無双する。 くろこんぶ @shirakonbu

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