愛の檻

椿 桜

第1話

ねぇ、私の事好き?


ちょっとー、今の『間』

なに?

何で即答出来なかったの?

他に好きな女でも居るの?


必死に否定する所が、更に怪しいな~

正直に言ってみて?

怒らないからさ


あ、今

   ⋱

    視線逸らしたの何で?


そっか。そうなんだね。

うん、大丈夫。

何も言わなくても分かってるから。

顔…ひきつってるよ?


もう

逃がさない


耳抑えちゃって可愛いね。

耳囁き程度でたじろぐなんて


ほんと

うぶなんだから


どうしたの?窓の外指さして。

ん?

何か衝撃的なものでも目にした?


「学校を囲むように棒が生えてきてる」

って?

もしかして、『檻』のような棒かな?


血相変えて何処に行くの?

逃げ場なんてないのにさ。

一緒に、ここに居ようよ…ね?


あー、もう見えない距離になっちゃったな。

声届いてなさそう。

ま、ここから楽しくなっていくんだけどね。


アハハハハハハハハハハ







おかえり。

どうだった?出れそうな所はあった?


そっか、それは残念だったね。

二人だけのこの世界

不満?

何が不満なの?——教えて?


怖い?私が?

私は、ただ貴方の事が好きなだけだよ?

それ、伝わってる?

ねぇ、どうなの?

答えて…ね?


また、逃げようとしてる?

でも、残念。

次は、ちゃんと握ってるから。


貴方の


離してって頼まれても離さないよ。

痛い?

何で痛いのか分かる?

私の…

『愛』を拒むからだよ。


私の事を好きだって。

誰よりも大切にするって。

言ってくれたじゃん。

私は忘れてないよ?


もしかして⋇⋇⋇嘘…ついてたの?


嘘じゃないって言うんだ。

なら、証明してよ!

今すぐに!!


落ち着け?

何言ってるの

私は、ずっと落ち着いてるよ?

私じゃなくて、貴方が変なんだよ。


そう


貴方が


変なんだよ


変になったのなら、元通りにしなくちゃ…

ごめんね

彼女なのに気づくのが遅くなって。

だから、もう安心して?

身も心も私に委ねてくれたらいいよ。


そうそう、意志なんか持たなくていい。

力を抜いて、、、

そのまま…堕ちたらいい。

私という存在に堕落して。

後少し。





あぁーーーーーーーー、失敗した。

何で抗うの?

後少しで、私だけの存在になったのに。


許さない


許さない


許さない


もう、私だけのものにならないなら要らない…


要らない


要らない


要らない


そんなに抵抗したらさ…手首折っちゃうよ?

女子の私には無理だと思ってる?

ふふ…ふふふ…

まだ気づいてないんだ?


もう、この空間は普通の空間じゃないんだよ?

私が望めば思い通りになる。

だからね、貴方の手首を折れるぐらいの力が欲しいと望めば…

分かった?


非現実的?それは、フィクションの中だけの話?

酷いなー

『愛の力』だよ?


愛があれば何でもできる。


この言葉聞いたことあるでしょ?

事実だったんだよ。

『愛』って良いよね?

貴方も、そう思わない?

って気絶しちゃってるし。


好きだよ。誰よりも。

貴方の事を思ってる。

この唇も、手も、、、何もかも全て私のもの。

要らないって言ってごめんね?

冗談だから。

ずっと撫でていたい、この頬を。









気が付いたの?

おはよう。

よく眠れた?

気を失ってる間に、変なことしてないか?

私、そんなに信用無いんだな~

頬を撫でてただけだよ。


それ以上の行為は、してないよ。


も・し・か・し・て


期待してた?

もう…そんな化け物を見る目で見ないでよ。

幾ら私でも傷つくよ?


それで、気持ちは変わった?


変わんない…か。

分かった。

解放してあげる。

好きな所に行っていいよ?


さよなら、、、私が唯一愛した『貴方』

元気でね。

私は、一生忘れないから——









あれ?解放してあげたのに戻ってきたの?

何で?

「やり直せないか?」

それが、貴方が出した答え?

待ってた。その言葉。


貴方にふさわしいのは『私』


やっと、その事に気付いてくれたんだね。

嬉しい。

録音…しといたからね?

私が言わせたわけじゃない。

貴方が、自ら言ったんだからね。

それは、理解…しといてよ?


うん、ちゃんと理解してるんだね。


え?抱きしめたい?

貴方から誘うなんて…初めてじゃない?

いつも、恥ずかしいからって嫌がるのに。

温かい。

この温もりがずっと続けば

     …のたし何…っ↩


…い痛


…てしうど


…いさだくてめ辞


…すましい願お








彼女は死んだ。

誰の手でか。

気付いてるんだろ。

自分の行為から目を背けるな。


俺は、貴方であり。

貴方は、俺なのだから。


やったな。自由を手に入れたんだ。

自由になったぞ!!

    …なカバ↩


…ずはたし殺にか確


…るいてき生で何








私は、ちゃんと言ったよね?

この空間は『私の思い通り』だって。

大丈夫。

貴方が、私を刺した行動も『愛』します。

何をしても、無駄なんだから

うふふふ…


さて、そろそろこの狭い空間も必要なくなってきたわね。

よそ見してちゃ…

        ⋱

         ダメだよ?


やっと見つけた。

彼を通じて『貴方』という存在を。


彼は『貴方』

『貴方』は彼


写し鏡のようなもの。

気付いてた?

私はね、彼を通して『貴方』を見てた。

最初からずっと。


ありがとう。

私の掌の上で、踊ってくれて。

第四の壁?

あー、そう捉えてしまうのも無理はないね。


じゃあ、『貴方』に聞くね。

『貴方』は、今どっちに居る?


私が目の前に居るでしょ?


つまり、、、?

そういう事。

やっと、気付いてくれた?

ずっと、目の前に居たのに気付かなかった?

それとも、現実ではないと思いたかった?


『檻』が空間だと私は言った?

それとも、深読みして言葉だと思った?

残念、不正解。




正解は『貴方の心』にある。


私に囚われていた時、どう感じた?


私から解放された時、どう感じた?


喜び?

恐怖?

人によって、感じ方は違ったと思う。


でもね、一つだけ確かな事がある


私と出会った瞬間から

『貴方』は『愛の檻』に囚われていたという事。


『愛の檻』はね

一方的な愛の形でも成立するんだよ?

両思いである必要はないの。

だから、もう『貴方』は逃げられない。


例え、物理的なこの『空間の檻』から

逃げる事が出来たとしても。

理由が知りたい?


うふふ…どうしようかな






特別に教えてあげる。


既に『貴方の心』に


私がプレゼントした


『愛の檻』が


存在しているから、、、


これからも、よろしくね?


あ・な・た

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愛の檻 椿 桜 @tubazaku

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