業人まつり

@Lucifer777

七業三

暖炉の前の糞布団に座ったまま、じゅんへいは振り返ってドアを見つめた。

その穴の向こうから、誰かが自分を呼んだ気がする。

じゅんへいは気のせいか、と思い、そうかドアってしゃべるのか、

と呟いて、すぐ興味を失くして壊れたスマホをしゃぶった。


しゅんへいはずっとスマホをしゃぶっていた。


千歳飴をなめているつもりだった。実際に甘い味が口に広がった。

じゅんへいは長い間探していた千歳飴をようやく見つけてはしゃいでいた。

七五三のお祝いの日、せっかく買った千歳飴をゴリラみたいな女は

「虫歯になるから歯磨き覚えたら食べましょうね」と言ってどこかに隠しやがった。


その飴が目の前にある。涎が溢れた。


スマホを喉の奥まで突っ込むと、激しく咳き込んで

びっくりするぐらいの涎が流れて体を汚した。


その暖かさが心地いい。


涎は途切れることなくあとからあとから溢れ出て、

じゅんへいは気持ちよさそうに目をつぶった。



──────────────────────────────────────



じゅんへいはぽかんと口を開けたままだった。

こうしていれば頭の中のアンチが出ていってくれるかもしれない。

おでは今までネットの光だった。

だからアンチが寄ってきた。

でも、もういいだろう。

もういっぱいおでを食い物にしただろう。

もういい加減にゲラウッ。


「おい業人、飯じゃ。なにしゃぶっとるんじゃ」


だれだ、こいつは、と思う。

おばえもアンチか?

おでの知名度で食いたいのか、ふざけるな


じゅんへいはスマホでお辰の頭を殴打した。

お辰の目に涙があふれた。

お辰は沈黙の誓いを破って泣き声を上げた。

原の底からの泣き声が鳴き声に代わり


ピギー!!!ピギャー!!!!!

という悲鳴に変わった。





元ネタ

https://suki-kira.com/p/79457/c/754833


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