第6話 突然のデート2

顔を真っ赤にさせて、うつむいているとフラーム殿下が、

「着きました。僕のイチ押しのお店です。レイラ嬢はきたことがあるかもしれませんが」

と苦笑しながら、言った。


馬車を降りると、レンガ造りの店の前だった。

ここは、初めてくるお店だ。そう思いながら見ていると、

「この店は、初めてですか?レイラ嬢」

フラーム殿下がそう尋ねてきた。

「はい。このあたりにすら来たことがないです」

当たりを見回しながらそう答えた。

「そうですか。それならちょうどよかったです。昼食をとった後、この辺を回りませんか?」

フラーム殿下はなぜか、「二人で」の部分を強調させて、そう言った。


中に入るとふんわりと甘いお菓子のにおいがしてきた。

「殿下、このお店はどのようなお店なのですか?」

この時間帯だ。お菓子やスイーツを食べるというより、ナポリタンなどのご飯を食べるのが普通だと思うんだけど…。

「うーん、どんなお店か。ナポリタンやカレーなどを食べたりコーヒーを飲んだりするお店ですかね」

カレー?なにそれ?

「殿下、カレーとは何ですか?」

そう尋ねると、殿下はびっくりした顔で、

「レイラ嬢は、カレーを知らないのですか?」

と、訪ねてきた。私が

「はい」

と答えると、

「そうですか。この国の主食はですからね」

といって納得していた。そして、

「レイラ嬢は、辛いものはお好きですか?」

と聞いた。

「実はわたくし、辛いものは苦手なのです」

「そうですか。では、今日はカレーを食べるのはやめておいたほうがいいと思います」

二人でそう話していると、店員さんが

「二名様でよろしいでしょうか?」

と聞いてきた。フラーム殿下は一瞬考え込んでいたが、

「はい」

といった。

「こちらへどうぞ」

店員さんが案内してくれた席に二人で座りに行くのだった。



席につくと、フラーム殿下がメニュー表を見せてくれた。そこには、私が見たことも聞いたこともないような、ものがたくさん書かれていた。私は一つ一つフラーム殿下にどんな料理なのかを訪ねた。普通は途中で嫌がるものだと思うのだが、フラーム殿下は、嫌な顔一つせずに微笑みながら教えてくれた。


結局、私はオムライスというご飯を卵で包んだものとワッフルというお菓子みたいな小さいパンとコーヒー?というものを頼んで、フラーム殿下がカレーライスとラッシー?を頼んで、二人で食べようとフライドポテトというものを頼んでくれた。


ワクワクしながら、料理が来るのを待つ。こういうお店は始めてきた。目をキラキラと輝かせながら、店内を見ているとフラーム殿下がくすっと笑い、

「相変わらず、可愛いですね」

などというので耳まで真っ赤になった。

「からかうのはやめてください」

「からかってなどいませんよ?これは本音ですからね」

なんていうのでもっと真っ赤になった。


料理が来ると、卵の塊のような料理が来た。とってもおいしそうで目がキラキラになった。

「いただきます」

スプーンの側面で卵とライスを一緒にすくうように食べる。半熟の卵がトローとしていて見るだけで食欲が沸いてくる料理だ。口に入れた瞬間、卵のとろとろと、ご飯の酸味と甘みが絶妙なバランスでとても美味しい。ご飯のほうはチキンライス?というらしく、鶏肉の旨味がしっかりと感じられる一品だった。思わずおいしすぎて顔を上げると、こちらを見て微笑んでいる殿下とパチっとあった。


「殿下は食べないのですか?」

殿下の頼んだカレーライスというものは、スパイスの香りが鼻をくすぐってくる。とてもおいしそうなのになぜ殿下は食べないのだろう。

「美味しそうに目をキラキラとさせて食べるレイラ嬢をみて、つい見とれてしまいました。カレーライス食べてみますか?」

「いいんですか!?」

そういうと、殿下はにっこりとほほ笑んで自分のスプーンですくって食べさせてくれた。一口食べると、スパイスの香りが口いっぱいに広がり、濃厚なルーがサラサラのご飯に絡み合いとても美味しかった。


「とても美味しいです!!ありがとうございます!!」

そういって私は自分のお皿から、卵とライスを一緒にすくって殿下に「どうぞ」と差し出す。殿下は少し顔を赤らめながら食べて、

「美味しいですね」

と小さな声で言った。


私はオムライスを食べ終わると、小さなワッフルを食べた。表面はサクサク、中はふんわりした食感でとても美味しかった。ワッフルを食べながらコーヒーを飲んでいると、フラーム殿下が、

「レイラ嬢は美味しそうに食べますね」

といった。

その時、店員さんが

「こちらがフライドポテトです」

といって運んできてくださった。


運ばれてきたフライドポテトは、見た目にも食欲をそそる、黄金色に輝いていた。

一つ手に取ると、驚くほどサクサクと軽快な音が響き、口に入れると、外はカリッ、中はホクホクとしたじゃがいもの甘みが広がる。とてもおいしく、やみつきになる一品だった。


会計を済ませ外に出ると、フラーム殿下が

「さてここからは二人の時間です。私がエスコートしますね」

といって手を引いた。


様々なレンガ造りの家やお店が立ち並び、とても楽しかった。王妃教育や、無能王子の業務が忙しく王都や町を観光することなどできなかったのだ。

一日、フラーム殿下と町を歩きながら一緒に観光してとても楽しかった。


帰り、フラーム殿下とまた観光に行こうと約束して、王宮へと帰った。

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婚約破棄されたので自由気ままに生きていこうと思ったら、隣国の王太子殿下にプロポーズされました。 涼風あおい @pluiesoleil

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