第2話
翌日。
俺は一晩の野宿の後王都へと到着し、冒険者登録のため冒険者ギルドの王都支部を訪れていた。
「あまり変わってないね」
ある冒険者は酒を片手に噂を話し合い、ある冒険者は素材の効率良い収集方法について話し合っていた。そんなギルドの光景は変わっておらず、俺はどこか懐かしさを覚えた。
「はぁ?これが1000Gなわけねーだろ! ドラゴンのツノなんだぞ!?」
「そう言われましても…」
俺が受付に向かうべくギルドの奥へと進むと、黒髪の少年が受付に張り付いて職員を困らせているのが分かった。
他の受付窓口には少年を避けて列ができていて、このままではいつまで経っても冒険者登録ができそうにない。俺は少年に立ち退くよう促すため声をかけた。
「あの、後ろが支えてるので早めに済ませてもらえますか?」
「アイツ、勇者のガキに突っ掛かりやがったぞ…!」
「なんてやつだ、前みたくボコボコにされるぞ…」
俺が少年に声をかけると、横の受付に並ぶ冒険者がヒソヒソと話した。
「あぁ?俺は見ての通り取り込み中なんだ。受付なら他に並びな!」
声を荒げて答えた黒髪の少年に、俺はムキになって更に声を荒げて対抗する。
「なんですか、その態度!あなた、そうやって15分はゴネているじゃないですか!」
「俺はかの勇者様なんだぞ? 勇者様はお前に構ってやれる暇じゃねぇんだよ!さっさと横の列にでも並びな」
少年は勇者勇者と、自らが勇者であることを強調するように言った。
勇者?この世界での多くを森で過ごしていた俺には、その言葉の意味が分からなかった。
「なんと横暴な!大体勇者ってなんなんですか!!」
「おまっ、勇者を知らないのか!?よっぽどの世間知らずなんだな、お前……。 勇者ってのはな?」
自称勇者の少年が呆れたように言い、続けた。
◆◆◆
現在から12年前。
この大陸に存在する3つの大国それぞれで信仰されている宗教の神からそれぞれの国へお告げがあった。
『時期に勇者の称号を持つ人間が生まれる。やがて勇者は国の最高戦力になると約束するが、それは他の大国2つにも同じ。我が国の勇者を、世界最高の勇者に育て上げるのだ』
と。
大国の王たちは自国の勇者を世界最強の勇者へと育て上げるため考えた。
“五大列神に挑ませ訓練を積ませ、あわよくば序列1位を獲得させよう”と。
考えの偶然的一致により、各国の勇者たちは他の勇者と同じ目標に向かって努力することとなった。
勇者たちは今年で15になる。
ついに成人である年齢を迎えた勇者たちは、既に国1番であるその実力を更に鍛えるため、各国の王たちから五大列神に挑むことを命じられた。
◆◆◆
「そしてこの俺こそが王国の勇者、マール様だ! 五大列神を探して旅をしている」
最強ランキング2位の人 ビューティフル佐々木 @mune1or1shimethu
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