第5話 カドゥプルの花

僕はこんな珍しい謎に翻弄されるとは思っていなかった。

犯人だと思っていた人は犯人ではなかったからだ。


朝に来ていないとなると放火は何だ?

ならば彼女はなぜ花壇の件を聞いていなかった?


僕の頭には謎に対する疑問が大量によぎる。

この優雅な謎はどこまで僕をワクワクさせてくれるんだ。

心に秘めているのは類い稀なる好奇心と興奮。

僕の顔は無意識のうちに笑っている。

周りにそんな顔で歩いて帰る高校生などいない。もちろんのこと周りも引いている。


「ねぇ、この人なんで笑ってるの?」


「見ちゃダメ!!」


この通り親子連れも犯罪者を見る目をしている。僕の頭はこの優雅な謎により支配されてしまっていたのだ。

早くこの謎を自分の物にしてやりたい。

僕はそう思いながら家の扉を開ける。

 

「ただいま」


「おかえり!お兄ちゃん、そういえばお客さん来てるよ」


お客さん?

今帰ってきたばかりだ。しかも何も用意していないというのに客を家にあげたみたいだ。

そして僕はリビングの扉を開ける。


「あれ?なんでいるの?」


そこにいたのは妹から見たら先輩の立ち位置にいる人。僕の高校からの友達山茶花葡萄「さざんがぶどう」だった。

 

「あれ?なんでここに葡萄がいるんだ?」

 

そう。葡萄は僕の同級生でありながらクラスメイト。一応中学の時は彼女は科学部であり妹が先輩として親しく接してくれている。

そのためこの人には強くは当たれない。

妹の好感度までも下がってしまうからだ。

まぁでもこの葡萄とは高校生からの仲だ。大丈夫だろう。

すると葡萄はいきなり僕にある事の始まりを僕に告げた。


「またしても刺傷事件が起こった。前回のと比較すると刺された場所が一致している上に今回はその現場に白のたんぽぽが残されている。何か知っている事は無いかと思ってね。君を訪ねてきたんだ」


刺傷事件。僕が黒種草さんを振った理由になった事件、それが連続刺傷事件になって帰ってきたのだ。


「しかも刺された場所は首辺り。

しかも現場に大量の血が地面を埋めている。まるで血の海見たいな感じらしい。

被害者は意識不明の重体。前回は深くは刺さってなかったけど今回は深く刺されたみたいだね。完全に殺意をもってる感じみたい……」


殺意を持った刺傷事件か。


ならば被害者と犯人は顔見知りか?

もしくは人違いなのか?


まず人違いは無いだろう。

明確な殺意を持った犯人が被害者になった人の顔は忘れないだろう。その線は除外したとして顔見知りの場合なら全然ありえる。

というかそれしかあり得ないだろう。


「でも一つ意味がわからない事がある。」


僕はそういうと葡萄に一つ意見を述べる。


「でも前回と違うのは被害者の傷の違いもあるがたんぽぽが置かれていたことだ。普通に考えて現場にたんぽぽの花を残していくのだろうか?

わざわざ犯人が残した痕跡だ。きっと何かあるね。」


それを聞いた彼女は何かを取り出す。

それは何かの資料。


「これはそのたんぽぽにあった指紋についての資料。でもこのたんぽぽには指紋が一切無かった。」


彼女は科学者を目指している努力家みたいな人だ。家には化学でよく使われる器具が大量にあると聞いているため僕は彼女を少し頼りにしていたりする。

実際それで解決された事件も何個かある。

僕は彼女と一緒に結果を導き出す。


ならば犯人は手に何かをしていたのか?

その事が頭によぎった。


「まさか軍手か!」僕は彼女に軍手の跡が残って居ないかを聞く。

 

「それは分からない、でも試してみる価値は有ると思う。軍手跡が残っていたら犯人に近づくはず、今日はありがとね」


そう言って彼女は椅子から腰を上げる。


「じゃあね、檜ちゃん。また来るね」


「ありがとうございました。また来てください。山茶花先輩!」


妹が元気よくそう言った時葡萄は玄関の扉を開き、帰って行った。

でも僕は一つある事に疑問を持ってしまった。

今回もたんぽぽが絡んだ事件みたいだ。

しかも今回は白のたんぽぽ。

血を吸って赤に染まっているのだろう。


花壇の件とこの事件、たんぽぽの色に何か関係があるのか?


これはまるで珍しい謎の花を開花されている様に思えてくる。

僕はそう思いながらシャワーに入るのだった。

 

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青の百合水仙《アルストロメリア》 柚ポン浜地 @HAMATIYUZU

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