第4話 一滴の水
花壇が燃えたであろう現場に謎に一本だけ植えられている黄色いたんぽぽが僕を優雅な謎に僕を引き込んでいく。
僕は謎が大好きだ。
こんなもの、用意されたとしても解くしかないじゃないか。心の中ではこれは黒種草さんの仕業だと考えている。
「ならばこれは周りを見れば解決するはず」
僕は周りにある遺留品を回収し始める。
でも残っているのは撒かれたであろう植物由来で出来たであろう灰と燃えカスになりかけているマッチ棒だけ。
流石にたんぽぽは勝手には持ち出せない。
「これだけの物があればそこまで時間は掛からないだろうね」
僕は独り言を呟きながら遺留品を集めていたその時だった。
「っ!……」
後ろに異様な気配を感じたのだ。
「ねぇ、」
僕は勢いよく振り返る。
「うぁっ!!びっくりした……」
そこに立っていたのは水の入ったジョウロを持った黒種草さんの姿だった。
いつからいたんだ?
全く気づかなかった。僕は立ち上がり彼女に話を聞いてみた。
「黒種草さん、なんでここにいるのかい?」
すると黒種草さんが答える。
「お花に水をあげにきたの」
その返答はまさに異様。
たった1つ残されたたんぽぽの花に水をやりにくる。しかも今日の朝礼に花壇が燃えたということを彼女は必ず聞いているはず。なぜここに来たのだ?
ますます彼女の行動が怪しく思えてくるがまだ犯人だとは断言できない。
なぜならまだ彼女のアリバイが分かっていない。
僕が考えている間彼女は花壇を見る。すると彼女はとても驚き、ジョウロを落とす。
「あれ?なんで無くなってるの?私のたんぽぽ……」
それを聞いた僕は忘れていた事を思い出した。そういえば彼女は園芸部だ。
でもそれなら彼女の怪しい行動がまたしてもある。
僕は花壇に到着したときの時刻は午後4時。園芸部は基本的に朝に水をやりに行っている。
園芸部の毎日のルーティンである水やりを朝にし忘れたとは考えずらい。
僕はまたしても彼女に質問する。
蓮「そういえば園芸部の水やりって基本朝だったよね?なぜここにいるの?」
百合「今日遅刻して来ちゃって朝の水やりをする暇が無かったの。今日の当番は私だから放課後に水やりをしようと思ってきたらこの通りになってるの。私は知らないの。」
またしても彼女の言葉に疑問が残る。
これが知らないなら犯人がまた別になってしまう。昨日の彼女の発言があるのだ。
それにより犯人と決めつけようとしていたが本人が知らないと来た。ならば犯人は別にいる。僕はそう考える。
「周りにあるものを探そう」
僕はそう言って犯人に繋がる手がかりを探し始める。すると僕はとある物を見つける。
それは何の変哲もないただの軽トラ。
しかも荷台には何かが乗っている。
荷台を覗くとそこにあったもの、それは大量の黄色いたんぽぽと土ひとつ付いていないスコップ。
それをみた彼女は思わぬ事を言い出す。
「あれ?なんでここに私のたんぽぽたちがあるの?誰か移動させたのかな?」
それを聞いた僕はやってきた推理を一度止める。
そう、彼女の物が燃えた訳では無かったからだ。
ならば彼女の可能性は限りなく低くなる。
なぜなら彼女は園芸部であり、遅刻している。
遅刻しているということは花壇が燃えたことを知らずに過ごしていたということだ。
だとすれば犯人は別にいると考えてもいいだろう。ならばこれ以上責める必要はない。
ここは手を引くべきだ。
そう思い僕は彼女に何かを伝えようとした瞬間彼女が僕に向けてお願いを言い出した。
「今からこの花たちを植え直すから少し手伝ってほしい」
その言葉には何故か何も言えない重みが乗っかっている。僕は思わず頷く。
そして僕と彼女は黙々とたんぽぽを植える。
彼女からは怒りなのか悲しみなのが分からない感情が顔に出ていた。
静かな怒りを感じる。彼女の大切に育てていた花たちが燃えかけていたのだ。怒るのは無理もない。
彼女は心の底で怒りの他に何かの感情を感じる。第六感で感じていることではあるがあまりにも彼女の感情がおかしい。
疑問を抱えながら僕たちは作業を終わらせた。
「これで全部だね。じゃ、この謎解いてくるね」
僕は遺留品を全て回収し、その場を後にした。
この謎の正体が未だに掴めない。
彼女じゃないなら誰だ?僕はそう思いながら校門を出るのだった。
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