第3話 開花

僕はラーメン屋からゆっくりと歩いて家に着いた。


それにしてもあのラーメン屋、とても美味しかった。

あの味噌ラーメン、また食べに行こう。次は彼女と行きたいな〜……

そう思いながら玄関のドアをあげる。


「ただいま」

 

「おかえり!お兄ちゃん」

 

出迎えてくれたのは可愛い妹の檜「ひのき」だ。妹は控えめに言ったとしても可愛いすぎる。

前だって妹にハーゲンダッツをおねだりされ、つい三つとも渡してしまったり、クリスマスプレゼントをおねだりされたとき、妹が欲しいと言っていたヘアアイロンをプレゼントしたり、僕は妹をよく甘やかしている。

しかも現在妹は中学3年生であり受験シーズン。

ただでさえ忙しいこの時期でも彼女は趣味を堪能している。

彼女の趣味は僕と同じく謎解き。

でも妹の謎解きは僕のとは違う日常的な謎を主に解きたがっている。

常に何か謎になりそうなことを見つけ、日々その謎を解くためにいろんなことをしている。

 

そんな妹、実は拾い子だ。

中学生のころ偶然僕が路地裏の謎を解いていたときに妹がボロボロのセーラー服を着て、力無く倒れていた。

僕は謎より人命の方を優先し、交番まで妹を連れていきこちらで引き取ったって感じだ。

どうやら元の親に暴行などの被害に遭っていたと妹からは聞かされている。

僕はその事件を解こうとしていたが遅かった。

警察に先をこされ夫と妻を逮捕、今も刑務所で暮らしている。

 

そんな経緯がありこの家に来たため妹とは顔付きも違う血が繋がっていない兄妹の関係だ。


「ねぇお兄ちゃん。アイスとってきて」

 

「わかったよ」

 

妹との関係は深いが恋愛感情はもちろんない。

自分の妹として育てた子を恋愛の目では見れない。僕にとっては我が子そのものだ。


「これでいい?」

 

「やったーありがとう」

 

妹はアイスの蓋を開け、スプーンでアイスを美味しく食べる。その顔を見て僕は毎回安心する。

よし。時間も遅いし、風呂入って寝よう。

僕は風呂を済ませて明日に備えて夜11時半に就寝した。

 

 

翌朝。

僕は目を覚まし、朝ごはんを食べて学校に向かった。

登校はいつも8時30分頃。

朝礼の十分前だ。

僕はいつもこの時間に学校にきて友達と喋りながら門をくぐり、階段を上がって教室に着く。これがいつもの流れだ。

 

♪♪♪

 

朝礼が始まり先生が教室に入ってきた。

「おはようございます」

それに続きみんなも挨拶をした後先生はある事を言い出したのだ。

 

「今日の朝、園芸部が使っている花壇が燃えました。心当たりのある人は職員室に来てください」

 

どうやら園芸部の所有している花壇が燃えたらしい。

時間は朝。僕が登校している時には煙は上がっていなかった。ならば僕が登校した前に消化されているはず。僕は考えを巡らしながら昼休憩まで授業を受けた。


昼休憩。僕は紺を呼び出し、食堂で昼飯を食べるべく僕たちはたわいもない会話をするのが日課だ。


「蓮、そういえばあの例の八百屋の事件どういう感じだ?」

 

例の八百屋の事件は八百屋である「佐野」というお店に午後四時頃に強盗が入り、現金12万円盗まれたという事件だ。

犯人は捕まっておらず、未だに目撃者は店長の佐野さん以外いないらしい。

 

紺「八百屋の強盗事件。明らかに情報が少なすぎる。本当に解けるのか?蓮」

 

蓮「ああ。もう実際に解けている。」

 

紺「まじか…」

 

蓮「まず目撃者は本人しかいない。これがどうも引っかかっているがこれは発想の転換で対処可能だ。逆に考えれば犯人は店長が一人の状態。疑問だと思わない?」

 

紺「なるほど。時間的に考えて店長一人とは思えない。犯行は四時頃だ。客も多い時間のはず」

 

蓮「そう。こんなにも人がいる状況で強盗された上に目撃者が一人、あまりにもおかしいと思わない?

そして決定的な証拠は他にもある。

それは防犯カメラだ。防犯カメラには「八百屋 佐野」と書いていた。つまりは店長の所有物。

普通防犯カメラは外に置いているのが多いのにここの防犯カメラはレジしか写っていないはず。

しかも周りの防犯カメラはそのレジ付近のみ。

日の見えない場所に置いている時点で警察側からは時刻が言われた通りに信じるしか無くなる。

そう。つまり防犯カメラの映像を他の映像と移し替えて警察に通報し、知名度を上げようと考えたのだろう。」

 

紺「でもなんでそんなことが分かったんだ?」

 

蓮「それは僕がその時間、偶然にも八百屋に来ていたからだ。まさかこんな事が起きるとは思ってなかったけどね」

 

紺「犯行の全貌が分かってる。その上で蓮はどうせ警察には通報しないんだろ?」

 

蓮「もちろん。謎は謎のままがいいんだ。真相を知るのは僕だけで十分だ」

 


僕の持つ独占欲はその心意気からきている。


「謎は謎のままがいい」その言葉が僕は大好きだ。


真相を知った上で見る謎よりも謎を知るために真相を知る方が楽しいに決まっているのだ。

ただ答えだけを待ち続け、考えないよりよっぽどそっちの方がいいのだ。

辿り着けた者にだけ真相を知る権利がある。僕はそう思っている。でも紺も謎好きだ。

僕の解いた謎が好きであるため紺だけは特別扱いだ。

 

♪♪♪

 

おっと。予鈴のチャイムが鳴ったみたいだ。

僕たちは急いでご飯をかき込み急いで食堂を出た。

 

放課後

 

僕は朝に先生から聞かされた放火現場に足を運んだ。

ここにくることは先生には言っていない。

言えば止められるうえに叱られる。

ならば隠れて行くしかないのだ。

そこに謎がある。僕はそれこそはれば駆けつける人間なのだ。

 

「なるほど、そんな感じか、、、」

 

その場に広がるのは焼けた花壇と灰、しかも灰をみる感じ誰かに撒かれている。

そしてその場にあったのは黄色のたんぽぽの花一つがその花壇の上に植えられている異様な光景が僕の目に飛び込んだ。

そして僕は思わずこう言ってしまった。


「これは今までで一番と言ってもいいほどの優雅な花の謎だ。これは解きがいがある」

 

それを言った僕の顔は笑っていた。

そしてこの謎が後に想像出来ないほど複雑に絡み合っていくのだ。

 

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