セツナ

こよい はるか @PLEC所属

セツナ

今日も

公園の木と木の間から刹那の光が覗く


冷たい空気が肌を刺して

もふもふのマフラーをもう一周する


既に太陽の沈んだ暗い空に

ひとつ光が差し込んだ


定刻通りの電車

いま小さな駅に止まって


定刻通りの飛行機

いま私を照らした


通学路のど真ん中

私は呼ばれて振り返る


「なに見てたの?」

「飛行機」


君も空を見上げた

まだ少しだけ映っていた


「綺麗だね」

「そうだね」


君が背中にのせた手が

じんわりと私に暖かさを与える


やがてその光は見えなくなり

木の中へと姿を隠す


すると君は

居場所へ帰っていった




私は泣いた

声を上げて泣いた


悔しかった

空しかった


色んな感情がごちゃまぜになって

マーブル色になる


声が枯れて

涙も枯れて


することがなくなると


空が明るくなり始めた













——さて。




例年より強い寒さに身の凍える今日この頃ですが、




今日も明日も絶えず朝陽が昇ります。

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