進撃の熊

故郷を、「ヤツら」に奪われた。 圧倒的な暴力で街が蹂躙される中、政府は「不運な事故」と嘯き、多くの人々を見捨てた。数年後の日本は一変していた。安全な首都圏に人々は押し込められ、富裕層は巨大な「防熊ウォール」の影で安寧を謳歌する。

そんな、偽りの秩序と絶望の街で、俺は『領土奪還有志の会』、通称「領友会」に入隊する。元自衛官の班長、狂気の元マタギ「髭」、熊の生態に異常な情熱を燃やす獣医学者「眼鏡」…集まったのは、壁の内側では生きられない、はぐれ者ばかりだ。俺たちの武器は、時代遅れの「槍」。