都会をナメるナ……

怪異、伝承、都市伝説に、関わりたいなら山奥の閉鎖された村を探さないとならないのか?
そんなことはない。

これは、世界一の動員を誇るらしい新宿駅から、異界に通じてしまうという物語である。


都会は、思われてる以上に実はアンバランスな場所だ。
例えば、スカイツリーも東京タワーも、モノは目立つが足元には閑散とした下町や工場がぽつりとあるだけだし、
新宿にしたって、神田川の方まで少し歩いただけで、まるで昭和に取り残されたかのような景色が広がっていたりするのだ。


これは完全な余談だが、
新宿、渋谷、池袋といったところは昔は、川やら沼地やらがあり、それを埋め立ててできた場所であるという。

「だから、悪い『気』が流れてきやすいんだ」と、知り合いの風水師が言っていた……。




物語は、酔っ払って終電に乗る主人公が、
新宿駅の地下六階から出ている謎の電車に乗り、異界の村のような場所に言ってしまい……

金属バットで肉屋まがいのことをする老婆。

雑木林には死体の山……。

一体ここはどこだ? なぜこんなことになったのか?

という物語である。



グロシーンがあるので、苦手な方は注意が必要だ。
人によっては……まして今晩の献立がハンバーグの人は、見る前に覚悟がいるかもしれない。

しかし、このような、さわやかになるほどおどろおどろしいホラーを読むのも、なんだか久しぶりのような感じだ。古い友人に会う感覚である。



何より、新宿駅、異界駅という組み合わせが面白い。

舞台の『苦神師駅』にしたって、ひらがなに戻すと、なるほどな事に気がつくはずだ。




ご一読を。









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