導眠剤は君の声
茶村 鈴香
導眠剤は君の声
眠るギリギリに声を聞きたくて
大好きなコメディアンのポッドキャスト
好きな回選んで枕に沈む
独特の声は私に
可笑しくも甘くも響く
もうほとんどエピソードは覚えてる
落ち着く低めの声なのにね
テンション上がると高くなる
笑い過ぎてかすれてみたり
相方と恋の話する日もあれば
のっけからツッコミ炸裂 大喧嘩の日も
飽きてられない掛け合いのトーク
なんだか安心して眠くなる
そこそこハードな今日この1日を
私は乗り切り 彼も乗り切った筈
ポッドキャストだから
同じ“今日”ではないのだけど
根が短気だから何かとキレる
冗談半分 喋る『パンチとジュディ』
私は笑いながら もう眠ってる
小さかった弟が なんでだか
眠りぎわにぐずったり泣いたり
急に大笑いしてた頃 思い出しちゃう
静かすぎると眠れない
誰かが話をしてくれてる
楽しげに話をしてくれてる
夢で会えたらと思いつつ
完全にブラックアウトで熟睡
7時間半眠ってた
おはようって言う相手が
隣りにいないのは残念だけど
昨夜も寝かしつけてくれた彼と相方に
感謝しつつコーヒー淹れて
ハードになるだろう またこの1日を
ポーカーフェイスで生きなきゃ
彼も今日を 生きてる事に力をもらって
願っても会える事なんてない
でも声は私のそばにいる
時々喉痛めてる 風邪引かないで
知らん顔して危ないギャグ 本当は
周りに気を遣ってる人だそうだから
時々思いっきりすべっていいじゃん
身体は元気でいて
時々人目を避けて泣いていいじゃん
身体は元気でいて
私は彼を癒やせないけど
彼の為に祈ってる
きっとまだゴールは見えてない
彼の為に祈ってる
元気でいて
叱られた話を笑い話にして
元気でいて
今日も笑って眠らせてね
彼のお気に入りのラブソング
私ももう覚えてしまった
気がつくと口ずさんでる
こちらからは届かないラブソング
導眠剤は君の声 茶村 鈴香 @perumi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます