いちまい 🔭

上月くるを

いちまい 🔭



いちまいの冬一枚の空と海

天をゆく風に貌あり竜の玉


トラックが初冬の風を運び来る

枯芙蓉刈られて畑に寝かせらる


神の留守に出しつぱなしの氷旗

着膨れて水も厚みを増しにけり


冬すみれ日向の順を待つてゐる

年寄りを追越す小道冬たんぽぽ


ホイルめくひかりの帯や冬の川

枯蘆に身をひそめたる鳥その他


すると入る赤い襟巻ティルーム

湧き水に板のふたあり冬つばき


さかひなき冬の棚田と姥捨山

雪螢ネットの網をらくらくと


どこが痛いここが痛いの冬りんご

人参の味噌漬けをふと漬けてみる


まつすぐに歩いたつもり冬わらび

ふくろふや地球傾いでおつとつと


格子戸の「おでんあり〼」金釘流

湯どうふに胡乱な一日ほぐしけり




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