「本」と「人」

スイミング教室という日常の一場面から、少しずつ「本」と「人」との距離が近づいていく過程が、とてもあたたかく描かれているお話だと感じました。
本を貸し借りする行為そのものに、相手への信頼や「この物語を一緒に分かち合いたい」という静かな願いが込められていて、読んでいるこちらまで胸がふわっと温かくなりました。
大人になってから忘れがちな「本を通じて人とつながる喜び」を、やわらかな筆致で思い出させてくれる一篇だと思います。