美人温泉 ーフォトショ湯 ー

せおぽん

美人温泉 ーフォトショ湯 ー

湯けむりの向こう。

鏡に映る私は絶世の美女だ。


大きな瞳。

高い鼻。

完璧なスタイル。

歪んだ壁。


ここは、美人温泉 フォトショ湯。

湯気の加減で理想の姿に見える秘湯。

有給を取った私は、生活の疲れを洗い流そうと、この秘湯にやって来た。


鏡に映る自分の美しい姿を、ぞんぶんに目に焼きつけた私は湯から上がり、脱衣場で姿見を見る。


控えめな瞳。

ちょっと低い鼻。

ポヨポヨしたお腹。

現実の私。


むむむ。

よし。もうひとっ風呂浴びてくるか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

美人温泉 ーフォトショ湯 ー せおぽん @seopon

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る