ギャルは菩薩様

影神

教えの手



「宝くじ当たらねえじゃねえか!!」



運は味方してはくれなかった。


ハズレた奴がよく言うセリフだが。


「夢を買ったと思えば。。」


なんて決まり台詞を吐くが。


当たった未来を買っている訳だから。


想像する為に金を払っている訳ではない。



「ふざけんじゃねえ。」


価値の無い紙切れを放りながら愚痴を溢す。



「あぁ。いい事ねえかな。」



風が吹く度に虚しくなる。


座ったベンチは少しずつ体温を吸収してゆく。


労働の対価は見慣れた0の数。


これっぽっちの為に人生を捧げる。


"原因"は分かっていた。


『やるべき時にやらなかったから』


これに尽きる。



雑踏の中、電灯の灯りを見上げる。


こんなに頑張ってるんだけどなあ、


神は何を視ているのか。


そんな事を考えながら。


日々の悪事が頭の中をグルグルと周回する。


「うぜぇ」



「はぁ。」


ため息は白い空気に変わる。


自分の足元には、ボロボロになった靴。



「はい。」


唐突に目の前に差し出されたアイス。


「ぇ?」


見上げるとギャルが居た。



ギャル「"いいこと"あった?」


「ぅ、おう。」


自然にアイスを受け取る。


疑問を投げ掛ける前にギャルは話す。


ギャル「貰ったヤツだから。


おじさんも、頑張って?」


「ありがとう、」


ギャル「じゃあね。」


反応する様に手を上げる。



こんな寒いのにアイス?


いや。


こんなに寒いからアイス。


なのだろう。



アイスから視線を戻すも、


ギャルの背中は無かった。



【慈悲】


あのギャルは菩薩だったのか。


『腐らずに頑張れ。


そなたの行いは全て視ているぞ。』


と。。


そう、悟らせに来たのだろうか、



何の疑いもせずに貰ったものを口の中へと運ぶ。


「、、さみい。」



文句ばっかりの人生。


あれが嫌だ。これが嫌だ。


ムカつく。ウザイ。めんどくさい。ダルい。


やりたくない。やめたい。


楽になりたい。生きたくない。


引き算ばっかり。



そんだけ自分から引いてりゃ。


手元には何も残りゃしねえ。



「、、ん。」


木の棒に印刷された文字を見て。


俺は何も変わらずこう言った。



「今じゃねえだろ。」




 



















だから宝くじも当たらないのだ。








































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ギャルは菩薩様 影神 @kagegami

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