愛しているよ
青城澄
愛しているよ
君の胸の
何もない暗い夜空に
硝子の月をかけよう
それはほんのりとミルク色に染まっていて
静かな光で 君を照らしてくれる
蝶々の体温のような
かすかな暖かさが
君の胸にじんじんと痛む
君の胸の
何もない暗い夜空に
黄すみれの花輪でつくった
小さな太陽をかけよう
すると空は菫色になって
君の濡れた心を吸い込んでくれるよ
涙がかわいて 菫の香りの
さわやな風が 魂を吹き抜ける
君の胸の
何もない暗い夜空に
真珠を呑んだ魚が吐いた
白い星の虹をかけよう
君の心の小さな小屋の
割れた窓のガラスが
風に溶けて 星にさらわれていくよ
もう傷つく必要はない
苦しかったね
苦しいことなんて
わからなかったほど
苦しかったね
君はいつも笑っていた
けれど僕は知ってる
ほんとうは君はいつも
苦しかった
君のためにできることを
いつもさがしていた
小さな天使がいたよ
それは白い子猫のまなざしの中に
住んでいて いつも君を見つめていた
愛しているって
簡単なことばなのに
どうして言えないんだろうね
伝わらないんだろうね
ああ
愛しているよ
愛しているよ
愛しているよ 青城澄 @sumuaoki
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