クーバ帝国
蟹沢英二
クーバ帝王第二世即位
-1930年-
1930年9月18日。[クーバ帝王、老衰により死亡]と書かれた紙が空から落ちてきた。
その紙を見たものは皆、飛び跳ねるほど喜んだ。
普通の国なら、国の王様が死んだ時、悲しみ、不安になるだろうが、この国の帝王は王族のことしか考えていないようなロクでもない政治をしていたのだ。それ故に、皆帝王が死んだと聞き喜んでいたのだ。
だかその喜びも束の間。
クーバ一族の暴走もこれで止まるかと思いきや、[クーバ帝王の息子、クーバ・ガンパニアが、クーバ帝王第二世として即位]と、書かれた紙も落ちてきた。
そして国民は皆、クーバ一世とは比べ物にならないほどの、とんでもない政治をすることを、この時はまだ知る余地もない。
-葬式-
「国歌斉唱!」
「我クーバ帝国は 誇り高き国だ
豊かな自然に 王位の尊敬
クーバ帝国 世界一」
クーバ一世の葬式、国民全員が参加し国家を歌った。
その時突然
「ドンッドンッ」
とてつもなく大きな足音と同時に、幕が開く。
「クーバ帝王第二世のお見えです!」
国民全員、赤子までもが頭を下げ、頭を上げるとそこにいたのは,,,
とても人間とは思えない大きさの帝王。
ただ、その見た目について言及されることはなく、1人の男がクーバ二世の脳天を銃で貫いたが、クーバ二世は特に気にする様子もなく、堂々としていた。
即位早々暗殺かと思いきや、弾が脳天を貫通したのに死なない。
もうお終いだ。この国は救えない。
武力でも勝てない。卑怯な手を使う間も無く負ける。
この国に生まれたことを後悔するしかない。
来世は、日本に生まれられるよう期待しよう。
その時、クーバ二世が話し始めた。
「なぜ皆服装がちがうのだ?なぜ皆髪型が違うのだ?どんな小さな乱れでも、やがて大きな乱れとなり、いつしかは国家の乱れとなるのだ。いいか、お前らの存在理由はただ一つ。我らクーバ一族のことを敬い、クーバ一族のために働き続けること。それ以外になにも求めるな。いや、クーバ一族にも私の家来となってもらう。お前らはクーバ一族のため。クーバ一族は私のため。自由が許されるのは私のみだ。」
そういうとクーバ二世は、城の中に消えて行った。
そしてクーバ一世の葬式が終わり、いよいよクーバ二世の独裁政治が始まろうとしている。
国民は悔し涙を流す。
そして涙を流すなと殺される。
-過去-
数十年前、まだ国の名前がコマンヌー帝国だった時。コマンヌー一族は常に国民中心の政治を行い、何をするにも国民の許可を取る素晴らしい王族だった。
だが、1897年7月9日。クーバ一族がコマンヌー邸を襲撃し、一夜にしてコマンヌー一族を滅ぼした。そして、国の名前をクーバ帝国に変え、独裁政治を始めた。
その時まだわたしは生まれていなかったが、その話を聞くだけでも腹が立つ。
よし、私は決めたぞ。「いつか必ず、わたしの生きているうちにこの国を、国民全てが幸せになる政治のできる国にしていく。」
その目標のため、わたしと数人の仲間達は立ち上がる。
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クーバ帝国 蟹沢英二 @kanizawaeizi
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