毎日食ってたパンを売ってるパン屋が閉店した話

伯谷 陽太(ハカタニ ヨウタ)

あったかい日々

 僕は毎日、昼ごはんにパンを食べていた。

 最初こそ、パン屋のパンだと特別な気で食べていたが、いつしかそれは日課になっていた。もちろん、何ヶ月経っても味は美味しかった。


 でも、ずっとは続かなかった。今月いっぱいでパン屋が閉店する。知らせを聞いた時はどうにかなりそうだった。

 一週間もすればまだ売っていると、全然焦りに似た感情は薄れていた。だから今日もパンを頬張る。


 閉店する、このパンはもう買えない。そうなってから買いにくる人が増えた気がする。僕はベーグルサンドが好きなのだが、最近は食べられていなかった。もう一回ぐらいあの味を楽しみたい。

 僕はチーズバーガーに手を伸ばした。こっちもやっぱり好きだ。


 一週間後にはもう食べられない。どんどん買う人が増えた。やはりベーグルサンドは売り切れている。早く行こうにも、時間に縛られている以上は仕方がない。

 そう割り切れるほどに大人ではなかった。遅く来た僕は、残っていたパンを買って食べた。今までは数個は買っていたのだが、昼休みに入る時には既に数がなくなっている。

 最後の一個。他にあと二つぐらいあるが、他の人もいるのだ。いじっぱりは辞めておこう。


 最終日だ。起きた時はまだ、特に変わらない朝だった。

 でも、ちょっと早起きした。少し早いが電車に乗ろう。目的地より前の駅で降りた。

 やっぱりこのパン屋で買って行こう。

 店に入ると、並んでいるパンは少なかった。多くの物に予約が入っているらしい。

 結局ベーグルサンドは食べられなさそうだ。それでも、なんかスッキリした気分があった。ここがなくなるのは嫌だ。でも、最後までここのパンを好いていた自分が、トレーいっぱいにパンを持っている。

 好きな甘いパンを六個近く買った。普段の倍の数。そしておまけに二個パンをくれた。

 あったかかった。焼きたてのパンと、人。どちらも僕の日常には必要不可欠だった。


 だから最後に。


 いただきます。

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