【カボチャ君と先生】ハロウィンシナリオver.3

水縹❀理緒

カボチャ君と先生

ジャック・オ・ランタン

表記は【ジャック】

性別不問


フランケンシュタイン

表記は【フランケン】

性別不問


※人によって、グロいと感じる描写があります



start✨️✨️✨️✨️


ジャック「やっほー。フランケンシュタイン先生、久しぶり」


フランケン「ん?あぁカボチャ君か」


ジャック「まだこんな所でずっと作ってたんだね。」


フランケン「ここが一番作業の効率がいい。そんな話より⋯何用かな。1年前会ったときと変わらず元気そうだが。」


ジャック「そうだよ。よく覚えてるね、驚いちゃった。もしかして、この珍しい僕の青い炎に惹かれてた?」


フランケン「面白い奴を忘れるわけが無いだろう」


ジャック「ツギハギだらけの頭のくせに、覚えられるの?」


フランケン「ツギハギは便利だぞ。なんでも詰め込めて閉じ込めれる」


ジャック「ボロボロ零しやすいだけじゃない?先生なら賢いんだから、そんな事しなくても良さそうなのに」


フランケン「頭に残しておきたい取捨選択が出来るって考えたら魅力的だろう。どうでもいい事が入ってた頭に知識を入れたら無駄がない」


ジャック「無駄がなくて、入れたいものが入らなかったらどうするの」


フランケン「だから私はこの姿なのだよ」


ジャック「欲張りだね。さすが、科学者は頭がイカれていらっしゃる。自分を人造人間にしちゃうなんて、憧れちゃうね」


フランケン「思ってもいないことを」


ジャック「で、今は何を作ってるの?」


フランケン「自分の足のメンテナンスだよ」


ジャック「そ。じゃあ僕の事もメンテナンスしてよ」


フランケン「なぜ、私が?」


ジャック「先生でしょ?」


フランケン「先生ではあるが⋯どこをする必要がある?」


ジャック「ほら、僕の顔みてよ。気づかない?」


フランケン「……あぁ、歯の部分が少しかけているね」


ジャック「…そうなんだよ。綺麗に整えてくれる?作る事は得意だろ?」


フランケン「……こっち、座りなさい」


ジャック「ふふふ。ありがとう。楽しみだなぁ」


フランケン「…このメスがいいか。カボチャの細部をいじりやすい。あぁ、そうだ。麻酔みたいな物もしておくか」


ジャック「いーらない」


フランケン「だいぶ痛いと思うぞ」


ジャック「知ってるよ。でも要らない。痛くないから」


フランケン「カボチャは頭も固くなるのかね。じゃ、整えるぞ。口をあけて」


ジャック「…………」


フランケン「しかし、どうしてこんな欠け方したんだ。殴り合いをしたわけではなさそうだが」


ジャック「赤い炎のランタンにやられちゃったんだよ」


フランケン「ランタン⋯あぁカボチャの事か」


ジャック「そうだよ。先生が作ったカボチャ君に」


フランケン「それは本当にカボチャだったのか?」


ジャック「なんで疑うの?先生しか動くカボチャ作ってないのはわかってるくせに。覚えてないんだ」


フランケン「覚えているさ。作品なんだから。」


ジャック「本当かな。あんなに同じ物を作り続けてるのに」


フランケン「職人は作り続けなければ、技術が錆びていくんだよ。それだけの理由さ」


ジャック「そっか」


フランケン「⋯本当におかしな話だ。私のカボチャの炎の設定は完璧にしてある。常に一定に放出されるよう⋯赤色に攻撃性など生まれる隙はないのだが⋯」


ジャック「あ、僕らの炎って感情によって変わるの知ってたの?」


フランケン「もしや心を根が侵食して⋯いや、私のカボチャが攻撃などやはりありえない。精神保護もしっかり施してある。感情なんか、くだらない物で問題を犯さないようしているのに⋯

思考で覚えさせるより、感情の支配をした方が遥かに楽で賢いんだ」


ジャック「そうだね。感情のコントロールが出来ない人間が暴れたりするんだもんね」


フランケン「そうだ。だから赤い炎は安全なはず。むしろ青色の方が一番危険だ。赤色よりも静かに、より熱く高ぶっている時に発生する。私の知識に何も間違いはない。何が足りない?なぜそこまで穏やかなのか」


ジャック「見えてるものだけで判断するの、よくないんじゃない?先生」


フランケン「カボチャを作っているのは⋯私だけだと思っていたのだがね⋯⋯」


ジャック「不思議だよね。先生の頭の中って何が残ってるんだろう」


フランケン「君の作者に会ってみたいものだな」


ジャック「ふふ。会えるよ先生。大丈夫」


フランケン「引きこもりの研究者に知識を分けてくれるものかね」


ジャック「うん。引きこもってても会えるよ。僕が会えたみたいにさ」





フランケン「よし……こんな感じか」


ジャック「お、終わった?ありがとう!前より話しやすくなった気がする」


フランケン

「さて……今日も一体おばけカボチャを作ろうか」


ジャック「ねぇねぇ、先生」


フランケン「なんだい、カボチャ君。もう用事は終わっただろう」


ジャック「僕ね、名前があるんだよ」


フランケン「ほう」


ジャック「ジャック・オ・ランタンっていうんだよ」


フランケン「素敵な名前だね」


ジャック「でしょ?」


フランケン「誰が付けたのか。とても愛らしく恐ろしい名前だ。君にぴったりだね」


ジャック「そうなの。ジャックっていうあだ名も貰ったんだ」


フランケン「そうか。よかったじゃないか」


ジャック「ふふ。だから、覚えててよ。面白いカボチャ君じゃなくて、ジャック・オ・ランタンって名前のカボチャを。先生なら、出来るでしょ?」


フランケン「考えておくよ」


ジャック「ううん。今からだよ。今覚えるんだよ先生」


フランケン「自分で選択する余地もないのかね」


ジャック「うん。ないよ。出来るんだから。」


フランケン「……カボチャ君?」


ジャック「忘れるなんて、許せるわけないよね。だから、覚えてて貰わなきゃ。痛かった事も、思考ができたからこんな感情に苛まれているのも。教えてよ、先生。」


フランケン「一体今なんの話しを……」


ジャック「メス、メスは⋯あ、あった!さっき特等席でみてたから、上手く使えそう」


フランケン「……か、カボチャ君……?何をするんだ……メスをおきなさい。そんなもの握って何を」



ジャック「覚えてないの?」


フランケン「何の話をしていると聞いて」




ジャック「ねぇ。会いたいっていってたよね。

だから、会わせてあげようかなって。


鏡なんてなくても、目が体をとらえてたら

問題ないよね?きっと」




ジャック「覚えているから怯えるんだ

だから、お菓子で我慢するんだよ


僕だってお菓子で我慢しようかなって思ったのに


ただ、覚えてくれてるだけでよかったのに


お菓子なんてもう要らないんだ

代わりに先生の頭に詰め込んであげるね


トリックオアトリート

だからちゃんと覚えててね」




… 𝗍𝗁𝖾 𝖾𝗇𝖽✨️✨️✨️✨️

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【カボチャ君と先生】ハロウィンシナリオver.3 水縹❀理緒 @riorayuuuuuru071

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