最初は妖精が出て来る、メルヘンチックなお話なのかと思いました。しかし、中盤から、妖精たちの思いがけない生態が、明らかになっていきます。そして、終盤。妖精たちへの思いが爆発するのです。序破急の構成が巧みで、ぐいぐい作品世界に惹き込まれていきました。幸せとは何か?そんな問いを投げかけてくる、鋭い筆致で綴られた秀逸な短編。
ふわりとしたほろ苦さが読後感に残ります。何故かショパンの雨だれが似合いそうで。しっとりと幻想に浸りたくなるお話です。