N-Eden

Tron

第1話 覚醒

目の前が暗い、なんだこれは、何処だここは、

俺はパニックになりながらも、胸を押さえながらもがくように前に向かって手を伸ばそうとした。

しかし、重たい壁のようなものにぶつかり上手く手を伸ばせない。

強く手を押し込むとガチっという鈍い音が聞こえ、目の前が真っ白になった。


激しい光の閃光に目を眩ませながらも体は素直で、俺は混乱から逃げるように大袈裟に周囲の空気を吸い込んだ。すると待っていましたと言わんばかりに緑と土の匂いが俺の鼻に口に空気と一緒に雪崩れ込んでくるのを感じた。


なんだか懐かしい気がする。


しばらくして目を開けると目の前には広大な自然が広がっていた。

なるほどさっきの匂いにも納得だ。

視線を巡らせると、周囲より少し高い場所にあるらしく景色がよく見える。

見渡す限りは緑ばかりで、どこからか鳥の鳴き声のようなものも聞こえてくる。

しかし、どれも見覚えもない景色だ。 


「ここはどこだ?俺は一体、、、、」


さらに周囲を見渡そうとするとようやく自分がカプセルのような箱に入っていたことに気づく。

立ち上がりカプセルの周りを観察する。

なにかヒントがあるかもしれない。

カプセルは薄汚れ、その重厚な鉄のボディはところどころ劣化が始まろうとし、さらに何やら配線のようなものがところどころ剥き出しになっている。なぜこれに俺が入っていたのかは思い出せないが、この劣化のおかげで俺は目覚め、この箱から脱出できたのかもしれない。


他にヒントになるようなものはないだろうか、カプラセルをよく観察して目を凝らしてみると、ぼやけ文字でなにかが刻み込まねている。


「 …… A-Lincoln?」


A-Lincoln。これが俺の名前なのだろうか、親しみを感じる響きではないのは確かだ。


その後もしばらくカプセルを隈なく観察したが、これ以外このカプセルから得ることの出来る手掛かりは無さそうだ。


そもそもここは一体どこなんだ、他に誰かいないのか、はたまたどこかへ行ってしまったのだろうか。


仕方ない、探索する以外道は無さそうだな、、

俺はカプセルを後にした。


周囲をしばらく歩いてみるとどうやらここは何か建物の中のようだが、どこもかしこも廃墟よろしくかなり朽ち果て、かろうじてコンクリートだけが崩れまいと踏ん張っているようだった。しかしその踏ん張りも生い茂った蔦たちがかなりの部分で支えているようで、あまり長居することは推奨されて無さそうだ。


しばらく歩き回り階段を発見し下に降りていく。地上階に近づくにつれて植物が多く茂っていく。最後の方はまるで緑のカーペットのようにふわふわした場所を歩くくらいには元気に生い茂ってらっしゃるようだ。


階段をすべて降りると広間のようなところに辿り着いた。

やはり四方の壁や天井、全てに蔦や苔が絡み合い場所取り合戦を行なっているようだ。

彼らが熾烈な戦いをしているおかげで周囲は薄暗く不気味に感じたが遠くから一筋の光が差し込んでいることに気づく。


おそらくあそこが出口につながっているのだろう。

こんな状況なのに少し冷静かつ楽しんでいる自分がいるのが分かった。

自分の中の探究心が外に足を踏み出すべきだと叫んでいる気がする。


さぁ、外には何があるのか、そして一体何が起こったのか、見に行こうじゃないか。

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N-Eden Tron @hayakawayan

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