空こそは、自由への憧れ

@QaQ94

第1話

空こそは、自由への憧れ。

されど、それは真実であろうか。


空を仰望ぎ、雲の合間を縫うように。

眼下の大地は、あたかも頭上に漂うごとし。


枝幹(しがん)の如く蔓延し、幾重にも重なる街道を見た。

根茎(こんけい)のごとく、河と湖は天に浮かび。

信じられぬものと、瞼(まぶた)を大きく見開き、大地を見詰める。


金色(きんいろ)の麦畑、宙に浮かぶ丘、流れゆく霧。

喧騒(けんそう)の街道、墨(すみ)が滲(にじ)む如く人々は拡がり、飛蝗(ひこう)の如く車は走る。

遥か望めば、生気と活力に満ち溢れる一幅の絵。


ある空の下では——

高層ビルの反射は钻石(ダイヤ)の如く眩しく、

華麗なスーツは穀物の外皮(がいひ)の如く、

きらめく灯光は夜空の星々の如し。

あたかも、聴こえ来る旋律(せんりつ)がある。


また別の空の下では——

揚塵(ようじん)が大地を覆い、遍地(へんち)はチーズの如く、灰燼(かいじん)は秋风(あきかぜ)に舞う落葉(らくよう)の如し。

落葉は微塵(みじん)に砕かれ、あたかも攪拌機(かくはんき)にて碾(くだ)かれし如し。

磚瓦(せんが)は最早(もはや)浮砂(ふさ)と化し、ただ雛鳥(ひなどり)の悲鳴(ひめい)のみ聞こえる。

あたかも、聴こえ来る爆音(ばくおん)がある。


空が異なれば、景色もまた同じではない。

空には明暗の移ろいあり、

大地には万千(ばんぜん)の姿あり。

されど、問題は我が沈黙にあり。


空たるや、すべては制し難し。

大地たるや、万物はそれぞれに異なる。

ついに大地は空となり、

されど大地には、大地の優しさがある。

静謐(せいひ)なる大地の如く、

細切れにされた悲しみは無いのだ。

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