第2話 活動の始まり


「だからどういうことなんだよ!」


カーテンがなびき、窓の下から運動部がどなり声に気付きこちらを見るのがわかる。


「私も同感です。説明してください。」


それはそうだ。この女子の顔は何回か見たことはあるが、初対面だ。だが、これだけはわかる。絶対に合わないと。


「お互い様そうカチカチしなはんな。まぁ俺の話を聞きなはれ」


若林は煽り口調でそう言った。


「はぁぁ」


俺は大きなため息をついた


「お前ら二人とも進路決まってないよな。」


「まぁ。はい」


「そうですけど」


「お前らの進路指導は正直きつい!清水の担任の横田先生も言っててね。それで二人で話し合って決めたんだが、これからお前らには放課後進路教室をやってもらうぞ。もちろん拒否権はない!」


意味がわからないんだが。てかこいつ清水て言うんだな


「どういうことですか。なぜ私が…」


俺のつま先から頭の端までみてこう言った。


「この根暗男と一緒にならないといけないんですか?」


この女ついに言いおったぞおい


「先生。この会話を見て通り俺たち全然合わないんですが?人を見た目で判断しないという幼稚園児でもわかることをわからない人がここにいまーす♪」


すると清水とかいうやつは横目で俺を睨みファックという顔で


「見た目が根暗に根暗て言って何が悪いの?」


この会話は外から見たらドングリの背比べかも知れない。でもドングリにだってプライドはある。


「じゃあ、お前は糞ビッチだな」


その後0.1秒で俺の目の前に何かが迫った。


「お互いやめろ、このままだと二人とも仲良く生徒指導室行きだぞ」


その瞬間目の前の正体がわかった清水の拳だと。

清水はゆっくり拳を下ろし「チッ」と舌打ちをした。


「お互いまず自己紹介からいきましょうか」


若林がそう言った


「なんで拒否権がないのですか?」


「私もそれに関してはこの根暗男と残念ながら共感します」


「これはーあのーそのー教育の一環だ。」


どこまで行ってもこの先生は適当だな。でもこの先生の適当にことを流す逃げ具合は一流だ。まるで子供が駄々こねているのを大人にしたのだからとてもめんどくさい。


「はぁ、放課後進路教室てなんなんですかー」


先に折れたのは清水の方だった。さすがの清水も先生には暴力は振るおうとはしなかった。ただ諦めた目でため息をつきそう言っただけだった。


「よろしい!放課後進路教室ていうのはな、生徒から進路について話を聞き相談に乗りその悩みを解決してもらうことだ。もちろんお前らだけで無理な場合は俺が出来る限りサポートするつもりだ。」


コイツどこまで俺らをコケにしたら気がつくんだ。こいコイツほんとうに先生なのか?そもそもこんなヤツが先生に慣れている社会はどうなんだ?まず流石にめんどくさいからと言って生徒に丸投げするのはどんなんだ?

考えれば考えるほど意味がわからなくなった


「なんで俺たちなんだよ、他にもいるだろう」


色々聞きたいことあるが、まず1番気になっていたことを聞いた。なぜ話したこともない男女を一緒にしたのか、なぜ俺たち二人にしたのか、どういう意図なのかはっきりさせたかった。


「それはな、お前らが現状を良しとしているからだ。もしいまのままだとなりたいこと、行きたい高校があったときにお前らが後悔すると思ったからだ。この時期になると他の生徒は未来の選択肢を減らしていっている。だがお前らはそういう普通のとこができないのか、しないのかは知らないが、このまま現状を良しとしているとこっちもお前らを助けられなくなるだからお前らにはここに来てもらった」


空いた口が閉まらなかった。

いつまのらりくらりしている若林がこんなことを考えていたとは。俺たちのことを思ってやったことはわかった。

だが、


「だからといってこの暴力女と一緒に活動するのはどう考えても無理なんですが」


「私もこんな根暗ひねくれぼっちとは無理です」


なんか言うたび言葉の悪意が増えてる気がするんだが。自分がカースト高いからか完全に下に見ているな。もうめんどくさいから言う返すのはやめるか。少し負けた気がするがここで一歩引くのが大人の行動とやらか。


「5,000文字。なんの数字かわかるか」


なんだよ5000文字てわかるかぁ


「なんですか」


「もしお前らが放課後進路教室に入らなかったら反省文と睨めっこする数字だ。お前らがここに来て暴言、暴力未遂、全部書き込んでもらうぞ」


もう諦めた。深呼吸をし、すーと吐き


「わかりました…」

 

誠に遺憾ながらこれしか道はないらしい。さよなら俺の平穏の日々。よろしく俺のこれからの未知の日々。隣のやつももう諦めた目をしていた。生気が全く感じられない目で死んだ魚みたいな目だ。多分反省文の時くらいからだろうか。少し静かだと思ったらこういうことか。


「それしか道がないようですね。誠に不快ですが」


「俺の熱意が心に届いたらしいな」


若林が笑いながら言った


コイツ俺の脳内なら今ボコボコにしているのにな


「まぁ活動開始ということで。今日はもう疲れただろ。帰っていいぞ。」


「はぁ」


二人とも同じタイミングでため息をついた。

これから始まる地獄みたいな日々が脳裏をよぎった。俺は一足先に教室を出た。やっとこの教室を出れることに心が躍った。


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ここから恋は始まりますか? @1945asd

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