ここから恋は始まりますか?

@1945asd

第1話 放課後進路教室

子供の頃は宇宙飛行士や消防士になりたいと思っていたのかも知れない。でも、なぜだろう、いつからかそんなのなれるわけない、考えるだけ無駄だと思ってしまったのは。



「3-1組高梨さん至急職員室まで来てください」


放課後の掃除中の教室に響き渡る。

「高梨なんかやらかしたのかー」


「さぁねー」


「あの声のトーンだとめんどくさくなるぞー」


「さすが、普段怒られ慣れているだけあるなー」


「うるせぇ」



友達とたわいもない話し教室を出た。本当はなぜ呼ばれたのかは分かったいる。職員室までに向かう廊下の途中歩きながらなぜ俺はこんなにも無気力に過ごしているのかと考えた。


廊下の外からサッカー部の声が聞こえる。俺もサッカー部だった。別にベンチだったとかそんなことはなかった。でも3年になってから自分の中で心の何かがプツリと切れたのが分かった。そこからサッカーも楽しくはなくなった。一応最後まではやったが。


勉強はと聞かれるとサッカーより早く諦めがついた。一年のころは学年上位の点数は取れていた。でもいつのまにかただノートに書いて問題を解くだけのことがめんどくさくなり点数も下がった。

こんな俺は世間ではダメ人間なんだろう。思春期は人格形成に大事な時期だ。こんな俺はこのままで大丈夫なのか。そんな一抹の不安を抱えながら職員室の前に着く。


「失礼します。3-1組の高梨です。」


すると奥の机で手招きをしている教師がいた。俺らのクラスの担任の若林だ。男性の教師でめんどくさいことは大体学級委員にまかせているいい意味でも悪い意味でも放任主義の教師だ。

俺は小さくため息をして、その教師に向かった。


「なぜ呼ばれたのかわかるよな」


「進路希望調査のことですよね」


「わかるならなぜ提出しなかったんだ」

若林は机を指でトントン叩きそう言った


「まだ志望校が決まってなくて」

本当は提出しなかったんじゃない、書けなかったんだ。俺は無気力で自分の未来を考えるのわからなくなった。行きたい高校もなりたい未来もない。


「あのな、こんな紙なんかな適当に書いとけばいいんだよ。この先のことなんてわからねぇんだし。俺だってお前らみたいな頃はまさか自分が中学校教師になって週2でふうぞ…」

口走っていたのが止まった。残念ながらこの失言を俺以外聞こえなかったそうだ。


「今のは忘れてくれ。つまりなんでもいいんだよ

。宇宙飛行士になりたいとか消防士にらなりたいとか漫画家とか。でもその代わりそのたには覚悟を持ててことだな。でもお前の場合そうではなさそうだがな」

この人の言う通りかも知れないでも


「僕はこのままでいいんです。別にこのままの点数で行ける高校はありますよね。今の点数だって平均より高い点数じゃないですか?」


「つまりお前はめんどくさいことは嫌いで勉強から逃げているだけってことだな」


俺はイラっときた


「そんな解釈はやめてください。俺は別にこのままの点数で満足しているからそれ以上の以下でもない点数でいいのです」


「じゃあなぜ進路希望調査書かなかったんだ?」


俺は少し言葉に詰まった。


「それは…。今から探すからです」


若林は呆れたように口を開いた


「お前ちょっとこい」


「は?」


「いいからこい」


そう言われ俺は職員室から出た。

9月なのにまだ少し暑い廊下をあるいていくと、外からは3年生がいない新チームだらけの運動部が見える。廊下を進むと奥の行き止まりの教室に足がとまった。どうやら空き部屋らしい。

若林がドアをガラガラ開けるとそこには


机に座り、髪が肩にかかるからくらいのショートヘアで赤いリボンが風になびき、目線は俺のほうに一直線に向かい、誰だよコイツビームを放っていた。顔は修学旅行で同じ部屋のヤツが実はあいつのことが好きなんだよて2人くらいがいいそうな顔だった。陽キャが陰キャで、言われると前者だろう。


「誰ですかコイツ…」

案の定聞かれた


「人に名前を、聞くときは自分から名乗るのが普通だと思うんだか」


「まぁいいか。コイツの名前を聞いても関係ないか」


「それはどうかな」

若林が、口を開いた


「どういうこ⁉︎」

この質問に対しては息がぴったりだ。


「これからお前らには進路に悩む生徒の相談役になるだからな」


「はぁ?」

こうして俺たちの放課後進路教室は始まったのだった













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