これまで曇らせというものをあまり読んでこなかったので、どういうものか理解していませんでした。でもこの作品を読み進めていくと「あ、なるほど……」とすぐに分かりました。
何と言うか……自分で真っ白に漂白したシャツに自分で墨汁を一滴こぼすような、そんな感じです。「あーあ。」って心の中で聞こえてくるような、ちょっと引っかかるものを残したままにするような感じ。
でもそれが癖になるんです。この作品はタイトルの通り自己を犠牲にしながら全体を回復する少女の話ですが、少女が救済の代償に死にゆく姿を見て、救済された人々は皆心に闇を抱えます。……いやー、良いですね。
今まで曇らせジャンルを見てこなかった人も、良く見ている人も、どんな人でもおすすめできます。ぜひ一度読んで、そして癖になってください。