若さのマウントは廻りまわって

ameumino

若さのマウントは廻りまわって


高校2年生の 美羽(みう) は、今日も絶好調。

制服のスカートをひらりとなびかせ、地元のカフェで隣の席の 27歳のお姉さん を見つけた。

「へぇ〜、社会人ですか? いいなぁ〜、大人って」

と、一見ほめたように見せかけて…

「でも私、今が いっちばん輝いてる時期 なんで〜♡

あ、肌とかまだノーファンデなんで〜♡」

お姉さんは、苦笑い。

「若いって、いいね……」

勝った。

完全勝利。

美羽はストローをくわえてニヤリ。

その帰り道、公園にいた 7歳くらいの女の子 と目が合う。

女の子「お姉ちゃん、かわいい〜!」

美羽「ありがと〜。でしょ〜? 高校生だよ♡」

女の子「でも、おとな でしょ?」

美羽「えっ」

女の子「わたし、子ども。

だからわたしのほうが 若い ね!」

美羽「え、いや、まぁ……そう……だね……」

美羽(負けた……!? この私が……?)

さらにその横では、生まれたばかりの 赤ちゃん を抱いたお母さんがいた。

赤ちゃん「ばぶー♡」

美羽「はぁ……もう若さとかどうでもいい……」

その瞬間、赤ちゃんがなぜか美羽を見て 微笑んだ。

赤ちゃん

「ばぶ?(通訳:

大人になったら、あなたのこと

ババア って言うんで、よろしく…

ばぶ……)」

美羽「なんで赤ちゃん語が私分かるのよ〜!」


赤ちゃん

「ばぶ♡(よろしくね♡)」


美羽「ちくしょぉぉぉぉぉぉおお!!!」



公園に夕日が落ちていく。

若さの戦いに、永遠の勝者はいない——。

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