第四枚 ゴールを定めなければ

メリットと共に歩みを進めて考えたことがある。せっかくこの世界に転生を果たしたのだ。何か大きなゴールの一つ二つ見出しておかないと自我を見失いそうだ。

「どうした狼ちゃん?まだまだ先だぞ。」

「いやはや、私はこの世界に来たのだ。何もせずただ老いて消えゆく生は過ごしたくはなくてな。」

草を踏み鳴らす音が幾度も続き、やがて口を開いた

「そうかい。だったら勇者にでも成れば良いんじゃないか?」

「私は捻くれ者でね。勇者よりも魔王に惹かれるものさ。やることはなんら勇者と変わり映えしない。」

「へぇ…魔王ね、だったらアリマリア王国はやめた方が良さそうだな。

あの国は反魔種族国家。エルフも獣人もきたらたちまち串刺し。」

「分かってて連れて行かせたのか。メリットも命絶つことになるのだぞ?」

「いやぁアタシ基本無関心通しててねぇ。どうでも良いことは忘れちゃうのさ。」

呆れた。思えば人に対して情を持つのも久しぶりか。

「閃いた。私がアリマリア王国を滅ぼせば良いな。」

「そうか。わかった、アタシも力を貸そうじゃないか。クヒヒッ。面白くなりそうだなぇ。」


〜アリマリア王国城壁〜

下から上までくまなく観察を行う。

石レンガが巨大な壁を作り、ほのかの魔法の匂いが立ち込めている。恐らく結界のようなものだ。

人型では制御が難しいが

「問題ないな」

白銀の毛並みを携える狼の姿を戻し

方向と共に口の中に最大限魔力を凝縮する。

(撃つのは火炎でいいか)

燃えたぎるイメージを口に表し酸素を供給するために風も纏わせ、捻り、一つの球に変え



         灼熱ノ声

瞬間光の玉は押しつぶされたかと思われたが一筋の線となり城壁に突進、激突し爆散、コンマ秒後には目の前は爆発のドームを作り出していた。

「狼ちゃん。ちょっとやりすぎよ。」

「魔王になるのだ。容赦とは無縁とならねばならぬ。」

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生き方とかそんなの聞いてないし、私は転生者なのだから邪魔するなら消す。 止ヒ糸ケン(むらさきけん) @HELS

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