後ろ手のたからもの

金時まめ

〜後ろ手のたからもの〜



わたしたちは 楽しくおはなしをする

向かい合って

それぞれの想いを 後ろ手に隠して


自らの背中に回した わたしの手から

ときどきこぼれてしまう あなたへの想い

急いでしゃがんで

明後日の方向を見ながら拾って

ひと息ついて そっとポケットに隠す


あなたはそれを見たのに

見ていないふりをして

でも 心の中では笑い転げてる


むぅ


あなたの方が手が大きいのが

ずるい


あなたは わたしと違って

いつも穏やかに微笑んで

自分の手を上手に隠している




……つもりでいるのでしょう?


でもね

あなたが気づかないうちに

ちゃんと こぼれてたの


あの日 あの夜

振り返った あなたの顔


きっと あなたにとっては

わたしに一番 見られたくなかった表情

……でしょ?


  わたしだけの宝物


思い出すたびに

かわいくて 愛おしさに包まれる

あのとき

ハグするのを踏みとどまった

わたしはえらいでしょ



むふふ

絶対に 忘れてあげないんだから


しっかり 心に 焼きついている


……じゅーーー


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