高い!
怨霊とか鬼とか、現実の事とは思えない
「そんなの、マジでいるの?妖怪とか?」
「でも、お前の視えているあいつらは、人とは違うと分かっているんだろ?」
「そりゃ・・まあ・・」
死んだ人間が死後の形があれだと言われても、信じられない。
「だって・・マジで異様だろ?手と足があっても、言葉は発しないし何よりマジで怖い」
たまに怖くないやつもいるけど
「分かってるじゃん・・」
ククっと喉の奥で笑うと近くにあったリモコンを取りテレビのスイッチを入れた。
テレビの画面が明るくなると同時に賑やかな声が部屋に響く。
「悪さをしなければ放っておくんだけどな・・最近、厄介な奴らが増えてきてね・・まあ、俺の商売も繁盛して有難いけどね」
「お前の商売って・・何?」
「さっき見ただろ?」
方眉を上げて俺の顔を見てから目を細めると人差し指と中指を突き出し中を切るようにヒュっと下に動かした。
「それは・・お祓い的な?」
「的じゃなくて、それが俺の仕事だよ」
フンっと鼻を鳴らすとテレビに視線を戻した。
「ってことで、次からは有料だから」
「・・え?」
有料とは、どういうことだ!?
意味が分からず唐糸の顔を凝視した。
すると、口角を上げまた微笑を浮かべた。
「出血サービスは最初だけで~す」
「えっと・・ちなみに一回幾らですか?俺に払える金額ですか?」
俺の質問に、にやりと笑った。
・
家に帰り階段を上るとき、少し怖かったが部屋の前には誰もいなかった。
ほっと胸を撫でおろし、部屋に入った。
ベッドに仰向けになり、天井を眺めながら唐糸との会話を思い出していた。
『一回2万だから』
ニヤけた顔で指を二本立てた姿を思い出す。
「・・いや、高すぎだろ!」
思わず叫びながら起き上がった。
「二万って・・普通に払えねーし・・」
でもまた次、あんなのに絡まれたらどうしたらいいんだよ!
「ああ・・くそ・・」
頭を抱えながら蹲った。
『お前、見えてるから気を付けろよ。あいつら見えている奴だって分かると、憑りついて殺そうとするから』
言われたことを思い出しゾワっと背筋に震えが走った。
「何それ!何それ!何なんだよ!」
今までよく無事だったなまで言われたけど知らないよ!
「うう・・くそ」
とはいえ、このままじゃいつか本当に死ぬかもしれない・・
あいつの力は本物だ。
「はあ・・バイトするしかねーな・・この前イヤフォン買っちゃったんだよな~・・ああくそ!」
俺の財布には二千円しか入っていなかった。
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月夜の闇を祓いましょう 緋月 @hituki-momo
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