鷹が(文字通り目の前に)舞い降りた
北野美奈子
鷹? どこから見ても猛禽類ではある
私の住むところは日本よりも寒いので今秋真っ只中である。毎年夏の終わりから晩秋にかけて週末になるときのこ狩りに行くのが私の趣味だ。
夏の終わりにはポルチーニ、ハツタケ、アンズタケが取れ、今頃になるとシロカノシタというあまり見かけは良くないが、味のいいきのこが取れる。バターで炒めた後に生クリームなどで仕上げてパスタソースを作るととても美味しい。今年は幻のハナビラタケも見つけられたし、何故かカラカサタケがたくさん取れた。冷夏の影響かもしれない。
今日は街から離れた田舎に住んでいる義弟のところに行って一緒にきのこを探して野山を歩いた。夫もよい運動になるし、きのこにも興味があるので大抵同行する。
義弟は私のマンションから電車で30分、さらに車で20分の場所に一人で暮らしている。静かでいい所だが車がないと生活が成り立たない為私たち夫婦には向かないが、閑静な田舎なので、街の喧騒から離れて一息つくには格好の場所だ。
森に入る前に空を見上げると何羽か猛禽類と思われる鳥が旋回している。義弟がオジロワシよりずっと小さいからノスリだろうと言った。私はノスリが何か知らなかったが、写真を撮ろうと試みた。最近買った携帯はズームが0.5から10倍まで自在なので動きのある物でもキャプチャーしやすくなった。
しばらく旋回する鳥を追ったがどうも上手く撮影出来なかったので諦めるしかなかった。この間すばしっこいリスは上手く撮影出来たので、慣れればいつかは撮れるかもしれないと思った。練習あるのみである。
3時間以上歩いたので、きのこはまあまあ大漁だった。そろそろ薄暗くなり始めたので帰途に着いた。寒かったので美味しい紅茶が飲みたかった。こうして天気のよい田舎道を他愛のない話をしながら歩いていると、目の前に鳥が舞い降りて来た。
大きくはないが、しっかりした足と鉤型に曲がった嘴からして猛禽類であることには間違いない。咄嗟に携帯で何枚も写真を撮った。何という名前の鳥なんだろうと思ったので、ChatGPTで調べると鷹科の鳥であるらしい。AIは最初ハイタカだと言ったが、鳥類に詳しい友人に写真を送るとノスリだと言った。
普通猛禽類が人間の目の前に降り立って堂々と道を塞いだりはしない。すぐに怪我をしているのだと気付いた。
こういう時現代に生きていてよかったと思う。携帯からChatGPTでどうしたらいいか調べて、どこに連絡すべきか教えてもらった。 猛禽類は法律で保護されている場合があるので、警察、県、専門の団体に問い合わせなければならないとある。
専門の団体の連絡先はすぐに見つかったので、携帯のメールで写真を送って簡単に説明してみた。義弟が警察に連絡すると、ノスリであれば捕獲しても法には触れないが専門家の指示を待った方がいいとアドバイスをもらった。
捕獲の準備をする為にとりあえず義弟の家に戻った。
ChatGPTさまさまである。すぐさま的確なアドバイスをまとめてくれたので、皆で検討した。以前飼っていたハムスターの檻に入れようかという意見も出たが、何せ相手は鷹なので危険だ。AIは暗くする方がいいというので、ダンボールを用意した。ブランケットやジャケットを被せると落ち着くともある。ブランケットで捕獲出来るかどうか分からなかったので、魚取りの網も用意した。
すると、先ほどの団体から電話が来た。電話の相手は獣医らしい。
鷹を見つけたようですね、とまず訊くので、怪我をしているようだと言った。
いくつか質問があるのだと言う。
ーまず、鳥は血まみれだったりしますか?
ー首や胸の辺りが大きく腫れ上がってはいませんか?
そういう様子ではないと、返事をした。私が撮った写真を送るから見てほしいと返事をした。すると電話の相手は、この写真を見たかったんです!と言ってくれた。
ーこの種の鳥は、獲物をたくさん飲み込んでしまって動けなくなってしまうこともあるので、それが確認したかった。翼が曲がっているのはこちらでレントゲンで確認しなければなりません。
そう、獣医さんは言った。
義弟は自分が運転して連れて行くと言ってくれたので、皆でノスリを獣医のところまで連れて行くことにした。その為には鳥を捕獲しなければならない。
上手くいくだろうか?一抹の不安はあったが、厚手の作業用手袋も用意し、鳥の様子を見に戻ってみた。やはり怪我をしているらしく飛べないらしかった。
義弟は念の為に私に網を渡し、ブランケットを被せようと鳥を追いかけた。夫がダンボールを抱えている。かなり怯えているらしく、鳥は全速力で逃げようとした。義弟は数メートル走っては、止まり、また走っては止まりを繰り返した。ブランケットでは無理だったので、網にしてみると無事に捕まえられた。
それを皆で協力し合いながら何とか引っ掻かれたり、噛まれたりせずにダンポールに入れることが出来た。大人3人でやっと、である。
車の荷台に乗せて指定された場所に送り届ける間、家族チャットに写真をアップし名前募集と言ってみると、子どもたちからすぐに反応があった。義母も喜んでいる。鳥は可愛い顔をしていると娘が喜んだ。姪っ子からもメッセージが来て、Buzzという名前にしようと言って来た。
家で飼うわけではないが、名前を付けるとさらに愛着が湧くものだ。荷台で姿は見えないが、Buzzは名前に似合わず大人しくしている。暴れられたらどうしようかと心配していたが、AIの言うように暗くすると落ち着くらしい。
今回はAIがとても役に立った。多少いい加減な情報もあるかもしれないが、とにかく情報処理が素早い。携帯電話からこれだけのことが出来るというのはすごい世の中になった、と今更のように驚いた。
獣医さんからBuzzがどうなったか連絡がないので、その後どうしているのか分からない。早く元気になって欲しいものだ。
獣医さんからお礼のメッセージが来ていた。この団体の職員は皆ボランティアで診察しているのだとHPに書いてあった。
お礼を言いたいのはこちらの方だと返信しておいた。
摩訶不思議な一日の終わりだった。Buzzの写真のリンクを貼っておくので、興味のある方は見てやってほしい。とても可愛い肉食動物だ。
https://kakuyomu.jp/users/MinakoK/news/822139837758737925
以下、Chat GPTの検索結果。興味のある方は読んでみていただきたい。
🦅けがをしたノスリを見つけたら
ノスリは猛禽類で、交通事故や電線などでけがをすることがあります。
見つけた場合は、**慎重に、そして正しい方法で行動することがとても大切**です。
---
### 🚫してはいけないこと
* **自分で治療しようとしないでください。**
猛禽類は法律で保護されており、許可なく飼育・治療することは違法です。
* **くちばしから直接水を与えないでください。**
肺に水が入ってしまうおそれがあります。
* **専門家の指示を受けるまで食べ物を与えないでください。**
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### ✅すべきこと
1. **まず距離を保つ**
ノスリは強い足と鋭いツメを持ち、防御のために攻撃することがあります。
ゆっくり近づき、飛び立てるかどうか観察してください。
2. **逃げられず、明らかにけがをしている場合**
* **厚手の手袋**(園芸用や革製など)を着用する。
* **タオルや上着を軽くかけて**落ち着かせる。
* そっと持ち上げて、**空気穴のある箱**に入れ、底に**タオルを敷く**。
* 箱を**静かで暗い場所**に置き、救助が来るまでそのままにする。
3. **すぐに連絡する**
* 📞 **警察** に電話し、「けがをした猛禽類(ノスリ)を見つけた」と伝える。
→ 警察が地域の**野生動物リハビリ担当者**や**動物保護担当官**につないでくれます。
* すでに知っている場合は、直接**野生動物リハビリ施設**に連絡してもかまいません。
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鷹が(文字通り目の前に)舞い降りた 北野美奈子 @MinakoK
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