心ならずも武士として生きざるを得なかった、琵琶奏者の生涯
- ★★★ Excellent!!!
四谷軒さんの最新作は、ブロマンスの歴史小説です。
これがまた素晴らしかったです。安定のクオリティですね。
主人公の経正は、8歳のときに稚児として仁和寺に入り、その主である覚正の寵愛を受け、類まれな琵琶の才能を見出されます。
しかし、経正は、武士たる平家の出。心ならずも戦に生きる中でも、覚正の形見とも分身ともいえる琵琶の名器「青山」ともに生きます。心は常に覚正と琵琶にありました。
運命と人生はままならぬもの。そんな当たり前といえば当たり前のことですが、全編にそんな葛藤と覚正への敬慕があふれている、見事な作品でした。
特に歴史小説好きの方にお勧めします!