空からの太鼓の音

天使猫茶/もぐてぃあす

空からの太鼓の音

 激しい雨の降りしきる窓の外を眺めていた子どもが、ふと呟いた。


「パパ。どん、どんって太鼓の音がする。お祭してるんだよ、外に行こうよ」


 父親は新聞から顔を上げると、まだ幼い我が子の隣に並んで窓の外を見ながらこう言った。


「あれはお祭の太鼓じゃなくて雷だよ。今日はお祭はなくなっちゃったんだ」

「お祭ないの?」


 悲しそうな顔を浮かべて自分を見上げる子どもの柔らかい髪を撫でながら父親は、なにも今日こんな大雨が降らなくても良いじゃないか、と重い雲のかかる空に恨みのこもった目を向けた。

 せっかく数年ぶりに予算が下りて伝統だったお祭が大々的に復活する日だったというのに。



 ちょうど同じ頃、雲の上では雷神が機嫌よく太鼓を叩いて轟くような声で笑い声を上げていた。


「人間たちが久しぶりに祭をやろうとしているな! これはわしもぜひ太鼓で応援してやらねば!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

空からの太鼓の音 天使猫茶/もぐてぃあす @ACT1055

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ