詩「朝になれば」

Nowaki Arihara(有原野分)

朝になれば

ぼくがいなくても

朝になれば空は明るい

静寂が雪になって

冷たい空気を引き締めながら

夜、舞い落ちる空白


閉めたはずの蛇口から

水がぽたぽたと零れ落ちる

忘れていた

真夜中の間に一変する言葉たち

気がつかない間にぼくは

どこにいってしまったのだろう


窓ガラスをすり抜けて

白い光が部屋を黄色く染める

よく分からない世界の仕組み

指紋のついたガラスのこちら側に

すべてがあるようで

窓を開ければ

すべてが吹き飛んでいく


夜はなんとなく明ける

小学生から中学生に

恋人から夫婦に

子供から親に

朝になれば

思い出す間もなく

透明だった光に色を探す

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

詩「朝になれば」 Nowaki Arihara(有原野分) @yujiarihara

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ