吾輩は…
@mimbu6-jIvnoz-qupdov
第1話
吾輩は猫である。
名前はもうない。
今となっては飯のことばかり考えている身の上である。ただ、ある日目を
吾輩は其処で初めて人間というものを見た。
しかも後で聞くとそれは勇者という、人間中で一番獰猛な種族であったそうだ。
この勇者というのは時々
しかしその時はなんという考えもなかったから、別に恐ろしいとは思わなかった。ただかれの
勇者が吾輩を引き連れて
この勇者の家でしばらくよい
我ながらなかなか愛くるしい
をしている
吾輩はそのことで細君に随分追いかけ回され、また主人に随分慰められた。
その子供も
それからまた数年経って、世中の
そういう訳で一人と一匹の暮らしとなってからは、買物のために街に出ては魔物連れと
そんで今日も
主人の子ーヘクスとか云ったーが足を
「これは驚いた。あの伝説の勇者『
がくがくの震え声で、ヘクスが返す。
「
言葉の途中で、ぴしっと扇子を振ったような音が鳴り、ヘクスは耳を覆った。-否、耳の方は地面に在るので、耳の
ぐううと
「これで試しは終った。お前は私の攻撃に反応できないとわかった。…こうして判断すれば、お父上も文句はなかろう?」
「余計な手間をかけさせたのだ。少し遊ばせてもらおう。」
こうもりがすうと手を挙げる。
-その手を、冷えた風がすり抜けていく。
すり抜けたのではない。貫いたのだ。
「…間合いだ。バカが…」
雲まで登って、幾分か経った後、茶黒かった風が、だんだん白く成ってゆき…
やはり、
とうに手の傷を治した様子で。
ヘクスの方は唖然として居る。
「ご満足頂けたかな?では、私も。」
肉に肉を
フライパンはそのまま、続けて5度、パンを滅茶苦茶にぶん殴った。
パンの方は4回目で気を
さて、6回目がなかったのは、吾輩が声を掛けたからだ。
「
「何だ、貴公も魔族だったのか。これは失礼。やけに小さい
街の
「気がつくかつかぬかはいいが、
ふん、と
「有益だろうと無益だろうと、殺すつもりだ。
…それともまさか、貴公がこの人間を護るつもりで居るのかな。大魔族たるこの私から?」
「
ふ、と笑いが込み上げてくる。同族と話すのも、声を出したのも久し振りで、何だかこそばゆい。
「久方に会った仲間を、気遣って云うのだ。
仲間殺しは、吾輩の好む所じゃ
「ハハハハハハハ。」
その飛ばした何かが、
「
第2の撃は、
「
その
もう
「…
水面のように空が揺れて、其れから
落っこちた空をグワァと
「-この
「その名は」
くしゃり、とこうもりを咀嚼する。
最後っ屁の、黑い
「もう忘れたし、思い出す
ぼりぼり、ごくんと飲み込んだ。
猫というのは、存外悪食である。
腹の重さにうめいて、ヘクスは眼を覚ました。
さっきまで自分を痛めつけていたはずの魔族はどこかに消えている。わずかに耳が痛むだけで、怪我ひとつない。-かわりに猫が、お腹の上に乗って居る。
どうやら悪夢はこいつの仕業らしい。
仕返しに、気持ちよさそうに眠る顔をくしゃくしゃにしてやったが、猫はなぁご、と鳴いて、満足そうにするばかりだった。
吾輩は… @mimbu6-jIvnoz-qupdov
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