第5話 戦闘空間
名前:ケイン・シルベウス
性別:男
年齢:15
スキル:【盗賊】
基本アーツ:《窃盗》《鑑定》《索敵》《解錠》
特殊アーツ:《神の加護》《アイテムボックス》《クローキング》《洗浄》《不眠》《熟睡》《リラックス》《料理》《声色》《移動速度上昇》《重力減少》《火球》《聖光》《魔力制御》《詠唱短縮》
レベル:1 一般級(1~9)
腕力:11 初級(10~19)
体力:11 〃
俊敏:21(+10)初級+(20~29)
器用:21 〃
魔力:41(+10)中級+(40~49)
知力:31(+10)中級(30~39)
運勢:21 初級+(20~29)
ステータスをふと確認したんだが、レベル1とは思えないくらい華やかだ。もちろん、レベル1のままでずっといる気はない。レベルが上がることで空間から手に入るアーツもあるだろうからな。
というわけで、俺とウィルが向かったのは地下1階にあるダンジョン教室だ。そこでは別空間(人工ダンジョン)で教官が召喚したモンスターと戦えるので、当然経験値も稼ぐことが可能なんだ。
ダンジョン教室も一般級、初級、中級、上級で分けられており、学生たちはそれぞれのレベルの教室でモンスターとの戦闘が可能になる。
「ウィル、独特の雰囲気だな、ここは……」
「そうですね、ご主人様」
通路はとても薄暗く、本物のダンジョンのような雰囲気を醸し出していた。こういうところから、ダンジョンへ向かう学生の気構えを養おうというアカデミー側の狙いが伝わってくる。
ダンジョン教室の一般級に俺たちは入る。俺がダンジョンに挑戦したいと言うと、教官はまずは他の生徒が戦う様子をここで見て、心の準備ができてから行くべきだと言ってきた。
教室には人工ダンジョンの様子がスクリーンで映し出され、学生や教官に見られているので不正はできない仕様だ。
学生たちが挑戦しているところを大人しく見ることになったが、草原のような異空間でスライムを一匹ずつ倒すという退屈な内容だった。それでも、一人の生徒がスライムの体当たりを食らい、火傷したり倒れて失神したりと、決して油断はできない様子。
「どうでしたか、ケインさん? あなたね、これを見ても最初から挑戦するというんですか?」
俺が怯むと思ったらしく、教官がドヤ顔で俺に尋ねてくる。
「はい、挑戦します」
「なっ……!? そ、そうですか。では、どんどん挑戦なさってください。恥をかいても先生は知りませんから。あ、そういえば以前あなたのようにイキっていた学生さんがいましたが、戦闘が始まって3秒で武器を手放して逃げ出してましたねえ」
「行こう、ウィル」
「はい、ご主人様」
「キ……キイィィッ! どうなっても先生は知りませんよっ!」
俺は教官や他の学生らの冷ややかな視線に見守られながら、人工ダンジョンへと向かうことにした。
教室の奥へ行くとレンタルルームがあり、そこでは壁に描かれた杖や剣、盾等に手を触れることで自分に合った武具を選べるようになっていた。そうそう、そうだった。アカデミーは武器の持ち込みが禁止になってるから、こうしたレンタル武具を選ぶことでダンジョンに挑戦できる仕組みだった。
レンタルルームで俺が選んだのは、もちろん杖――ではなく剣だ。
「ウィル、なんで俺が剣を選んだかわかるか?」
「はい、ご主人様。確かに杖というのは、魔法の威力を底上げして安定させることができます。なので、あえてそれを使わないことで魔法の威力を試すというのと、観衆に対して剣で倒しているように見せかけるためですね」
「さすがだな、ウィル。でも、なんで俺がそこまでやるのかもわかるか?」
「それは、魔法の威力を存分に発揮しつつ、ご自身の強さを隠すためですね」
「ウィル、合格だ。もう何も言うことはない」
「ありがたきお言葉です」
鎧に関しては、動きやすいようにレザージャケットを借りることにした。こうした武具のレンタル料は学費から差し引かれ、レンタルルームから出た時点で自動的に返却されるという。破損した場合はその分の修理代も払う必要が出てくるので扱いには注意が必要だ。そうだ。このレンタルルームから何か盗めるものがないか試してみるか。
『腕力が10上昇しました』
『体力が10上昇しました』
『器用が10上昇しました』
『《共有》アーツを習得しました』
さすが、レンタルルームなだけあって色んなステータスが上がったな。魔力値が上がらなかったのは、それだけ現在値が高いからだと推測できる。
新アーツが気になったので《鑑定》で調べると、双方が許可しているのが条件で、自分と仲間の特殊アーツを共有できるアーツなのだという。これは便利そうだな。使える場面があるのかどうかと思ったが、俺には従魔のウィルがいるじゃないか。
「ウィルのステータス、調べてもいいか?」
「はい、ご主人様。どうぞお調べになってください」
名前:ウィル
性別:女
種族:精霊
スキル:【精霊魔法(光)】
基本アーツ:《光合成》
特殊アーツ:《ヒーリング》《テレポート》《リカバリー》
なるほど、イメージ通りだ。年齢やレベル等がないのが意外だが、その代わりのように種族が表示されている。特殊アーツはどれも既に彼女が俺のためにしてくれたものばかりだ。
「俺とウィルの特殊アーツを共有できるアーツを獲得したんだが、貸してくれるか?」
「はい、いつでもよろしいですよ」
「ありがとう、助かるよ。ウィルも《鑑定》で俺のステータスを調べてアーツを使ってくれ」
「……恐れ多いです」
ウィルが白目になってる。さすがに主人のアーツを調べて自由に使うのはためらうか。とにかく、これでいつでも彼女の特殊アーツを使用できるのでありがたい。
俺たちはいよいよ、レンタルルームの中央にある魔法陣の中心に立った。これでその場から移動せずに十秒待てば該当レベルの人工ダンジョンへと入れる仕組みのはずだ。
まもなく、俺たちの周囲の景色が一転した。見渡す限りの草原と青空。歩いても歩いても歩ききれない。しかし、実際は同じ場所をぐるぐると回っているだけの狭い空間というわけだ。やがて、一匹の小さな青いモンスターが姿を現した。まごうことなきスライムだ。
スライムは俺の姿を見て勇猛果敢に襲い掛かってきた。あたかも、こんなところに閉じ込めた人間を恨んでいるかのように。スライムは最弱の部類のモンスターとはいえ、超強酸性であり触れただけでも大火傷をするので油断できない。
それもあって離れた場所から《火球》を撃ちたいところだが、あくまでも剣を使って倒すように見せかけるつもりだ。それで接近してスライムの攻撃を躱しつつ、剣を振るタイミングで《魔力制御》によって極小の《火球》を放った。
よし、倒した。魔力が中級者+レベルだから、《魔力制御》で火力を落としてもスライム如きなら一撃ってわけだ。剣が軽く振れるし、《重力減少》の効果も大きいと感じている。《クローキング》もあるので教官らも上手く騙せているはずだ。
俺はその調子でスライムたちに剣を振り下ろしつつ《火球》でなぎ倒していくが、一匹のスライムが独特な動きを見せたため回避されて反撃を許した。そこで瞬時に《テレポート》を使い事なきを得たものの、今のは危なかった……。
スライムとの戦闘が段々と楽しくなってきたが、俺はふと思い出したことがあった。ここで武器を手放すか、あるいは一定時間が経った時点で人工ダンジョンから退出させられる仕様だったっけ。それなら、その前にここから盗めるものは盗んでおくか。
『《異空間》アーツを習得しました』
お、こりゃまた良さそうなアーツを覚えたな。時間が流れない異空間の中へいつでも入れるんだとか。わかりやすくいえばアイテムボックスの生き物版かな。従魔のウィルはともかく、連れ歩けない魔物系なんかはここに入れておけるってわけだ。これでフラグが立って空間に関係するアーツも盗めるようになるかもしれない。
それが早速影響したのか、試しにもう一度盗んでみたところダンジョン空間の奥に届いたらしく《経験値上昇》アーツも獲得した。よしよし。それからしばらく狩りをしたのち、周囲の景色が元に戻った。
「ウィル、俺の狩りはどうだった?」
「はい、ご主人様、素晴らしかったです」
「そうかそうか、ありがとう」
どれくらいレベルが上がったか学生証をチラ見したところ、レベル1から9まで上がっていた。無我夢中で狩っていたのと、《経験値上昇》が効いたっぽいな。あと1上がっていれば一般級から初級に昇格できたのか、惜しかった。それでも、初級になったら一般の剣術教室には二度と行けなくなるのを考えるとこれでよかったのかもしれない。教室へ帰還すると、みんなポカンとした顔で俺のほうを見ていた。
「教官、どうしました?」
「い、いえっ……なんでもありませんよ!」
なんだ、教官がやたらと低姿勢になってる。上手く騙せていたはずだが、よく考えたら俺はレベル1であれだけのことをやってたんだな。そりゃ力を隠すのにも限界があるか……。
ゲーム世界で序盤に殺される悪役貴族に転生した俺、様々な空間からあらゆるものを盗める能力でエンジョイします 名無し @nanasi774
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