夜明けに投げ捨てた〜幾千の種共を

片山大雅byまちゃかり

そして、宇宙は星だらけとなった

 この種は星の源だ。神に仕事を与えられ、種の管理者になった僕は、何千年も種を見てきた。


 何千年。途方もない年月である。種を見るだけの退屈な日々を過ごした。そのうち、種を見てるだけの仕事になんの価値があるのか考えるようになった。


 そもそもどうして種を見る必要があるのか。そう思ってしまったからにはもうダメだった。


 僕はありったけの種を夜空へ投げ捨てた。こんなやりがいのない仕事、やってられるかという気持ちだった。


 ほどなくして、幾千の種共が開花して星となった。星は生命を育み、知能を蓄え、そして神をも脅かす存在にまでなってしまった。


 神は狼狽しながら、僕を解雇した。でも、不思議と後悔は無かった。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

夜明けに投げ捨てた〜幾千の種共を 片山大雅byまちゃかり @macyakari

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ