第2話 なんでいんの!?

  数学の授業が終わり、放課後になった。

 帰る準備をしていたとき、友達の由実が飴を加えながら話しかけてきた。


 「ねぇ、ゆっちゃん!

 今日急に猫に話しかけられたっていうからびっくりしたよー!

 いくらなんでも寝ぼけすぎ!ww」


 「いや、夢なら夢であってほしいよ...」


 由実はなにそれぇ~って言って笑ってたけど、

 確かにはたから見たら変人に見えるのもわかる。


 「あ、ゆっちゃん!ちょっとコンビニよらない?私暑くてとけ死んじゃう...」

 由実から誘うなんて珍しい...。

 私は2つ返事でコンビニに行くことにした。









 「いやー、授業が毎回大変だよぉ、ゆっちゃん助けてぇよぉ~」

 由実がカリカリ君を食べながら、私の肩に寄ってきた。


 「寝てるからじゃない?あと、ちゃんと板書したほうがいいよ?」

 (私が言えることではないけど...)


 「それはそうだけどさぁ!もう~猫の手も借りたいよぉ~!」



 「俺を呼んだか?」


  え...?

 声をしたほうに目を向けると、授業の時にいた猫がいた。


 「よぉ。また会ったな。」


 「なんでいんの!?」


 「誰か俺を呼んでいると思ってな。」

 あんたはエスパーか何かか?

 いや、話せる時点でエスパー以上なことは確実だね。


 「ゆっちゃん?誰と話してるの...?」


 由実にはどうやら猫の言葉がわからないみたいだ。


 


 「あーえっと...猫が喋りかけてきて...」


 

 「猫...?あ、猫だぁ!かんわいい!どこから来たのかなぁ~?」

 由実はこの猫をみつけるなり、なで始めた。


 ニャぁ!ニャぁ!!

 「おい、こいつ随分となれなれしいやつだな!早く手を放せ!」

 猫は極力嫌な顔をし、早く助けろと言わんばかりに鳴いている。


 「由実ぃ~そのこもっとナデナデしてほしそうだよぉ?」


 「え!!?マジで!!?じゃあもっとナデナデしちゃう!!」


 にゃぁぁぁぁぁぁぁ!!(おい!ふざけんなぁ!!!!)


 私は、その光景が面白くてしばらくそのままにさせといた。

 



 


 結局、30分ほど由実に可愛がられた猫はぐったりしていた。


 「はぁ...はぁ...疲れたぞ」


 「お疲れ様です。随分と長くナデナデされたみたいで...」


 「誰のせいだよ...まったく」


 猫はこちらを見るなり、威嚇してきた。


 「それで、何のようですか?」


 私は、率直な疑問を猫にぶつけた。


 「あ、そうだったな、」


 猫は、こっちに顔を向けてこう言った。


 「おまえ、俺の名前を考えろ。明日までに考えてこい。」


 猫はそう言った後、そそくさとしげみのほうへ入っていった。


 いや、考えろって言われてもなぁ...。


 「あ!!もっとナデナデしたかったのにぃ~!!」


 由実は、残念そうにうつむいていた。

 

 結局その後は、あの猫を見ないまま次の日を迎えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

もしもし?今猫に話しかけられているんだけど...。 緑のかゆみ @midosan04

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ