RonがAuronになる物語

@monamona_yoro

第1話


あの日の記憶は彼の心から消えることはなかった。

幼い頃、Ronの近所に大きな犬がいた。その犬はRonが近くに来るといつも吠えていた。その犬は鎖に繋がれていたので、Ronは少し怯えてたが安堵していた。だがある日、いつものようにRonに向かって犬が吠えてきたが、犬の首輪がちぎれて鎖が外れてしまった。Ronはそれを見た瞬間、必死に逃げた。だが、犬はRonを追っかけて来て、Ron「うぁぁぁあ!!!」犬「バウッ!バウッ!」 Ronは道端の石に躓いてしまい、転んでしまった。犬がRonに襲いかかろうとした瞬間、近くを通りかかった犬の飼い主が「Maxッ!!!!」と叫んだ。

飼い主の声に反応した犬はピタッとRonへの攻撃をやめた。犬の飼い主「こんな所にいたのMax!探したわ!」犬「ク〜ン、ク〜ン」

その後のRonの記憶はないが、ただ頭が真っ白になり、恐怖で満たされた。その時からだろうか、Ronにはもう1つの声が付きまとうようになった。。。。


「…Ron!!」


そんな出来事があったのだが、今の彼は背丈も伸び(180cmくらい)髪の毛は少しくせっ毛のある短い黒髪で、丸みのある逆三角形のフレームのメガネをかけている青年だ。普段からスポーツや筋トレするのも好きだった。また人のために奉仕するのが好きで、将来は教師になりたいと思っていた。

学校に行くために、道を歩いていると犬と散歩している人に出会った。

Ron「おはようございます!」Ronはいつものように挨拶をしたが、過去のことがあり、恐る恐る歩いた。

すると背筋がヒヤリとして「何を怖がっているんだぁ?」 とねったりとした声が聞こえた。

こいつはあの時から自分についてくる影(Shade)だ。

Shade「俺がお前の代わりになってやる事もできるんだぜぇ?」

Ron「いつも言ってるけど、そんなのお断りだね。これは自分で解決しなきゃいけない事だから」

Shade「とかいいながら全然解決出来ていないじゃないか、お前はずっと何かに怯えてる弱いやつだ。」

Ron「……」

Shade「くっくっく、図星だな」

Shadeはどんな黒よりも黒く影のような細長い姿でRonの周りをくねくねと漂っていた。

その時に「Roooon!!!!」明るく闇を照らすような声が聞こえた。

Ron「Mabel…」

Mabel「おはようRon!元気?」

Ron「うん、Mabelも元気?」

Mabel 「もちろん!あ!もうすぐでね、歌の発表会があるの!そこでソロで歌うパートがあるんだけど、今日練習する時にRonにも聞いて欲しいなぁって思ったんだ〜」

Ron「へ〜、聞きたい!」

Mabel「ほんと?やった〜、じゃあお昼休みの時に音楽室に来てね!」

Ronは彼女のころころとした声に心地が良くなった。


授業中、隣の席のクラスメート「Ronはいいよな〜、学年1可愛いMabelちゃんと今朝話してたろ」Ron「何を羨ましがってるんだ?お前も話しかけたらいいじゃないか」

クラスメート「そんな訳いかないじゃないか、なんせ彼女は可愛い上に歌のコンクールで賞を取ってる子だぞ!手が届かない存在だよ」

Ron「そうかなぁ…」

クラスメート「てか、お前はMabelちゃんのことどう思ってるんだよ?!付き合ってるのか?!」

Ron「昔からの幼なじみだけど、付き合ってる訳じゃないよ」

クラスメート「じゃあ、俺にもチャンスはあるって事だな!!」

Ron「…ははっ…」Shade「……ズッ…」

先生「そこ!授業を聞かないやつは減点だぞ!」

Ron&クラスメート「はい!すみません」


昼休みRonが音楽室に向かう途中、影は小さいが声はひたすらにRonに話しかけてきた。Shade「さっきのクラスメート、もしかしたらMabelをデートに誘うかもな」

Ron「…」

Shade「お?反応なしか」

Ron「周りに人がいるところで話しかけるなよ」

Shade「くっくっく、もしMabelがあいつの事を好きになったらお前は用済みだな」

Ron「どういう意味だよ」

Shade「ある時に彼女が勉強を教えて欲しいって頼んだ時があったろ。その時お前が教えたけど、彼女がクラスメートとデートしたら今度はそいつが全部彼女に教えることになる。あとは、今までずっと一緒に過ごした時間も全部あいつのものになるんだ。そういえばMabelは人気者だから彼女を崇拝するやつらもいるんだってな、そんな奴らにお前は勝てるのか?」

Ron(こいつが話すことは息が詰まるし、なんだか胸が締め付けられる)

Ron「はぁ…」

Ronは少し憂鬱なまま音楽室のドアを開けた。

Mabel「♪〜〜〜♪〜」

Mabelの歌声は、静かな音楽室に響き渡っていた。

彼女の歌声は軽やかで、柔らかく咲きほこる花のようで、さっきまで胸を締め付けていたものが和らいでいくような気がした。

さっきまで聞こえていたShadeの声はどこか遠くへ去ったようだ。

Mabel 「あ、Ron!来てくれたのね!」

Ron「もちろん…!」

Mabel 「あなたが来てくれて嬉しいわ、今練習をはじめたばかりだったの!」

Ron「そうだったんだ」

彼女が話すことはまるで、さっきまでの偽りの声をかき消してくれるようだ。

Mabel「うん!」

...………


放課後、Ronが家に帰ろうと靴箱を開けると一通の手紙が入っていた「Mabel様は我らのもの。彼女が欲しければ〇〇棟の屋上に来い。」 Ronの息が浅くなる。不安が彼をの心拍数を上げる。

クラスメート「Ron〜、一緒に帰ろうぜー」

Ron「…」

クラスメート「どうした?」

Ron「ごめん、今日一緒に帰れない」

クラスメート「おう…」

Ronは走り出した。

クラスメート「気をつけて帰れよー!」

Ron「はっ、はっ…」彼女が安全かどうかそれしか頭に浮かばなかった。

あの影が細長い姿をしてRonの周りに現れた。Shade「彼女を崇拝するやつか〜!俺の読みが当たったな〜」

Ron「彼女を崇拝するやつってどんなやつだ?!!」

Shade「知らねぇよ、でもあいつらずっと彼女をストーカーしてたぜ」

Ron「は?!」

Shade「知らなかったのかよ、はっ。まあ、お前はずっとMabelの事しか見えなかった見たいだしなぁ、くっくっ」

Ron「ちくしょう……!」


Ron「〇〇棟ってこれか?!廃墟で誰も近づかない場所に…!」Ronは外の光が届かない、チカチカと光る蛍光灯の螺旋階段を登って行った。

Shade「そういえば、お前は暗い場所も嫌いだったなぁ。くっくっく…」

息切れ寸前で屋上にたどり着いた。

誘拐者A「おや、来たようですね。」

誘拐者B「Mabel様を独り占めする悪いやつ!」

誘拐者C「これからMabel様とのとびきりな時間を過ごせる所だったのにぃ!」

Mabelはロープに縛られ、口もテープで塞がれていた。

Ronは人を傷つけるような事は人生で1度たりともしたことが無かった。

だが、この時ばかりは怒りが湧いてきて彼女を助けるために拳を振るった。

誘拐者の1人の頬に彼の振るった拳が当たった。誘拐者B「うっ…、このっ!」Ronは敵の攻撃を全て受け流し、彼らのみぞおちを殴った。

誘拐者B、C「うぐっ…」あっさりと2人を倒した後、最後の一人に立ち向かっていく。誘拐者A「こ、これほど強いとは…、やはりっ…」ナイフを取り出してRonに襲いかかる…!

Mabel「んー!!!」

しかし、ナイフを持っていた手に攻撃を与え、ナイフを落とさせ、うぞおちを殴り気絶させてしまった。

誘拐者A「ぐぅ…」

RonはMabelに近づき、テープを剥がしロープも解いた。

Mabel「…Ron、ありがとう」

Ron「…遅れてごめん…」

Ronは少し寂しそうな顔をして、Ron「…帰ろうか」

差し出された手を取り、少し心配した顔でMabelは、Mabel「うん」と返事をした。


2人がビルの階段を降りていく途中、蛍光灯の電池が切れ当たりが見えなくなった。

Mabel「きゃっ!」

真っ暗な場所はRonの過去を思い出させ、その途端大きな影がRonを襲った。Shadeは今までよりも大きな影で、まるで大きなおどろおどろしい怪物のような姿で現れた。

Ronの心拍数が急激に上がって、冷や汗が出てきた。

Shade「お前は世界で1番弱い!!俺に全てのまれてしまえ!!!Ron!!!」

Ron「うわぁぁぁぁあああ!!!!」

Ronよりも大きな影が彼を襲った…!!!

Ronの叫び声にMabelはびっくりしたが、彼女はとっさにRonを抱き締めた。

Mabel「Ron大丈夫よ、もう少し下に降りていけば外に行けるわ」

Ron「…はっ…はっ」

Shade「ヒッヒッヒ!!ヒャハハ!」

Mabel「…Ron、さっきあなたが私を助けてくれたこと。とても嬉しかったわ。そして、あなたが来てくれて本当に安心したの。ありがとう」

Ron「Mabel…」

Mabel「あなたは強いわ、私は知ってるもの。」

Shade「…お前は邪魔だ!!Mabel!!!!」

ShadeがMabelに襲いかかろうとした瞬

Shade「は?動かない…!…なぜ!」

Ronは大きく深呼吸して、Ron「もう、偽りの声も闇も必要ない。自分に必要なのは真実と光だ…。」

その言葉と共にShadeの体はひび割れ、音もなく散っていった。

彼女は微笑み、Mabel「あなたは私のHeroよ」

Ronは彼女を抱き締めた。


外を出るとオレンジ色の夕焼けが2人を照らした。


家に帰りRonは母に今日の出来事を話した。

すると母はRonに言った。母「あなたの名前はただのRonではなくて、Auron…光に満たされたRon…真実の道を歩いていく。そんな意味を込めて名付けたのよ。」 「いつもニックネームで呼んでたのだけれど、今度からAuronと言った方がいいかしら?」

Auron「うん、そうして欲しい。」凛々しい笑顔で母に微笑みかけた。

母「立派になったわね」

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