優しさが繋がっていく物語

 形にとらわれない「家族」の姿に、じんわり心を持っていかれ、思春期まっただ中の正人くんが、信吾にだけ見せる「母さんと妹を守るよ」という言葉が本当に印象的で、血のつながりを超えた親子になった瞬間だと感じました。

虎之介やご両親、お母さんの変化など、周囲の人たちも丁寧に描かれていて、物語の世界に自然と奥行きが生まれているのも素敵です。

カッピーとの別れは切なかったですが、その想いが「奏芽」という新しい命や、正人くんのサッカーへと受け継がれていく流れに救われ「終わりは始まりでもある」と感じさせてくれ、読み終えたあと、心にじんわり温かさが残る、優しさがつながっていく物語でした。

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