ソードオブクロニクル

白川津 中々

◾️

 夜寝る前にオリジナルのアニメを脳内で再生していたのだがこの度、遂にグランドフィナーレを迎えた。


 約二十五年の長期作品である。今までよくぞ続いてくれたもので、最終回はやはり感慨深いものがあった。ありがとう、ソードオブクロニクル(タイトル)。


 ところが問題が一つある。これから寝る前、何を考えればいいのだろうか。

 Blu-rayのおまけ映像や声優のコメンタリーなどもしっかり想像済み。ゲーム化もしており、システム面においても監修している。ソークロにおいては、もはややる事がなくなってしまっているのだ。かくなるうえは新作を創造するしかないが、いかんせん、前作が良すぎた。綺麗さっぱり忘れて「はい次ね」とは中々いかないだろう。何らかの形で影響が出ることは確実。もしかしたらゲストキャラクターとして出演とか、そのまま登場枠が増え主役を食ってしまうというような寒い演出、展開がなされる可能性もある。そんな真似はしたく無い。真摯に新作と向き合い、夜眠る前の楽しみを継続したいところである。


 しかし、俺にできるのか。アニメも漫画も作ったことのない俺に、前作を超える妄想が……ソークロを超える傑作を創造することが……


「……無理だ」


 結局、一話からの再放送が決定した。終わるのは二十五年後。その頃には、俺は還暦を迎えている。


 十代の時分に考えたストーリーをまた繰り返す。それは人間的な成長がなかったという証左なのではないか。そんなモヤモヤを抱えながら今夜、ソードオブクロニクル(再)が、始まる。

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