第19話 ケーキの俺は異世界でスパダリ公爵様に溺愛されている

 ふんわりと肌にかかる布団の柔らかさと、陽だまりのような温もりに包まれ、咲玖は瞼を閉じたまま意識をまどろませていた。

 この世界に来たときにも感じた優しい温もり。そのときはこれが何かわからなかった。

 でも、今ならすぐにわかる。咲玖はいつの間にか随分と馴染んだその温もりにすり寄った。


 ――やっぱり温かい。


 思うように動かない体を何とか動かし、重たい手足を絡ませると、その温もりは優しく髪に触れ、咲玖を包み込む。


 ――幸せだなぁ。


 まだ半分眠ったままのような意識でその温もりの形をなぞろうとするが、やはり思うように体が動かない。どうにかその形を捉えようと手を動かすと、その温もりはピクリと身をよじらせた。


「目を覚ましたのか?」


 頭の中に流れ込む耳慣れた重低音に反応し、瞼が自然と開く。

 目の前にあった白いもやが消え、焦点が合いはじめた咲玖の瞳に映ったのは、いつ見ても美しい宝石のように光るエメラルドグリーン。そして、その宝石を堀の深い切れ長の眼の中に埋め込んだ最愛の人の顔だった。


「サク……」


 優しく名を呼ぶ声と、金を混ぜたオレンジ色の髪と同じ色をした長い睫毛が揺れるエメラルドグリーンの瞳は陰りを帯び、不安げに咲玖をのぞき込んでいる。どうしてそんな顔をしているのか、と近いし記憶よりも少し痩けたように見える頬に手を伸ばそうとした瞬間、はっと意識を失う前までの情景が脳裏に蘇った。


「ライ! 決闘はっうっ、いったぁぁ……」

「サク!」


 思い余って体を起こした途端、背中に激痛が走る。ベッドに倒れこみながらまだぼんやりとした記憶をたどり、そういえば闘技場で横にいたヴィクトルに向かって剣先が飛んできたことに気が付き、咄嗟にかばったことを思い出した。

 その時、闘技場にいた誰もが決闘の行方を固唾をのんで見守っており、飛んでくる剣先に気が付いたのはヴィクトルの真横にいた咲玖だけだった。

 剣先はかなりの勢いで飛んできていた。きっと幼いヴィクトルに当たっていたらひとたまりもなかっただろう。だから咲玖は自分が身を挺したかばったことは間違っていなかったと思っている。ただ、目の前のラインハルトの様子を見るに、随分と心配させてしまったことは想像に難くない。咲玖だってラインハルトが決闘でもしけがを負ったら、と考えただけで胸がつぶれそうだったのに、逆にそんな思いをさせてしまった。


「ごめんね、ライ。心配かけちゃったね」

「いいや、すべて私が悪いのだ。サクを王宮になど連れてこなければ、決闘など受けなければ、私がもっと強ければ……、サクをこんな目に合わせずに済んだ」


 眉間にぐっとしわを寄せるラインハルトがあまりにも苦しそうで、咲玖はそんなことない、と口に出しかけた言葉を飲み込んだ。

 多分、これは咲玖がどう思うかではなく、ラインハルトが咲玖を想うが故の後悔だ。咲玖がどれほど否定しても、それが消えることはないだろう。

 だからまずは今一番気になっていることを聞くことにした。


「ライ、決闘はどうなったの?」


 ラインハルトの剣が折れ、その剣先がこちらに向かって飛んできたところまではしっかりと見ていた。だが、そのあとはヴィクトルをかばうために背を向けてしまい見れていない。最も重要な結果がわからないのだ。

 剣が折れるという絶体絶命の状態で、その後どうなったのか。もしかしたら、自分がけがをしたことで決闘は中止になったのではないか。

 正直なところ咲玖は己のけがよりのことも、決闘の結果の方が重要だった。けがはもちろん痛い。でも、たぶん命にかかわるようなけがではないと思う。だから余計に、今後にもかかわる決闘の結果が知りたい。

 咲玖がドキドキとしながら見つめていると、ラインハルトはふっと優しい微笑みを見せた。


「あぁ、約束通り勝ったよ」

「そっか、そっか! よかった、俺はライのそばにいられるんだね」


 安堵ともに涙があふれだしてくる。そんな咲玖の様子を見て、ラインハルトは目を丸めた。


「だが、結果としてサクがけがを……」

「うん。でも、どこにいたって誰といたって予想できないような危険な目にあうことはあるよ。もし、ライの言った通り、俺のけががライのせいだっていうなら、そもそも俺がこっちの世界に来なければって話になっちゃう」


 世界樹の客人は貴重な存在で、通常は王宮に召し上げられると聞いた。だから、咲玖がこちらの世界にいる限り王宮に来ないという選択肢はなかっただろう。

 この世界に生きる人は誰しも、当然ラインハルトだってこの国のルールに則って生きている。今回のことだってそのルールに則った末に起こったことだ。だから、それがラインハルトのせいであるはずがない。


「だから、あえて言うなら世界樹のせい?」

「そんな……」


 ふふっと笑って見せると、ラインハルトは困ったような顔をした。


「でもね、俺は世界樹に感謝してるんだ」


 咲玖はさっき触れ損ねたラインハルトの頬へと手を伸ばし、そっと添えた。やはり少し痩せてしまったように見える。咲玖を心配した結果でもあるのだろうが、フォークであるラインハルトは食事をおろそかにしがちだ。

 話を終えたら食事を一緒にとろう、なんて考えながら咲玖は頬に添えた手を動かし、額にかかるオレンジを含んだ美しい金色の髪を優しく払った。


「俺はこの世界に来てから、一度も元の世界に帰りたいと思ったことなんてない。それどころか、帰りたくないって思ってる。ずっとここにいたいって。きっと助けてくれたのがライじゃなかったらこんなふうには思わなかった。だから、ライと出会わせてくれてありがとうって思ってるんだ」


 世界樹がこちらの世界に招いてくれたからこそこちらの世界に来ることができた。そして、ラインハルトに巡り合うことができた。

 それが世界樹の気まぐれでもなんでも、咲玖としては人生最大の幸運になった。

 そして、今目の前で涙をこらえるように眉を八の字に下げながらも、愛のこもる瞳で咲玖を見つめるラインハルトも、きっと同じように思ってくれているだろう。


 ――だから、後悔なんてしないで。


 そんな思いを込めて、咲玖はラインハルトの額に口づける。


「大好きだよ、ライ」

「あぁ、私も愛しているよ」


 本当はぎゅっと抱き着きたいところではあるが、背中の傷が痛んであまり大きくは動けない。だから服を掴んで引っ張ってみせると、察してくれたらしいラインハルトは目を細めながら咲玖に体を寄せ、額や瞼、頬と余すところなくキスを落とした。


「早く帰りたいな」

「そうだな。でも、まずは傷を治さねば」



 背中の傷はそう深くはなかったようだが、範囲が広かったこともあり、医者からバーデルンに戻る許可が下りたのはそれから十日ほどたってからだった。

 その間に、ラインハルトからフォークとケーキのこと、そして咲玖がケーキであることを王族方に話してもいいかと問われ、問題ないと頷いた。

 咲玖が闘技場で倒れた後、アーデベルトが咲玖の匂いに中てられ、正気を失いかけていたという話も聞いている。だから話さないわけにはいかなかったのだろう。

 当のアーデベルトはその話を聞いた後、何も言わずにその場を去ったという。

 決闘の日以来顔を合わせていないから、結局アーデベルトが何を考え、どう思ったのかわからない。

 でも、咲玖がアーデベルトにできることは何もない。下手な同情心は身を亡ぼすだけだし、アーデベルトもきっとそんなもの望まないだろう。

 胸に少しの靄を抱えたまま、結局出立の日までアーデベルトと顔を合わせることはなかった。


 王宮からの出立前に国王夫妻に挨拶をし、王太子夫妻とヴィクトルは馬車の前まで見送りに来てくれた。

 身を挺してヴィクトルを庇ったことに国王や王太子からこちらが恐縮してしまうほど感謝され、何やらお礼なるものももらってしまった。

 すごくキラキラした剣だったが、怖くて持てない。公爵邸に帰ったら大切に保管してもらおうと思っている。

 ヴィクトル本人も大層咲玖に懐き、毎日見舞いのためと花を持って部屋に来たり、動くことが許可されてからは散歩を一緒にしたり、王宮に滞在している間は毎日のように一緒にいた。

 咲玖としては自分に懐いてくれたことは純粋に嬉しかったし、とてもかわいらしいと思っていたのだが、ラインハルトが「サクはなぜか“王子”にモテる」と苦い顔で呟いていたのを見てちょっと笑ってしまった。ラインハルトは結構やきもちやきだ。

 今も、帰らないでと泣くヴィクトルを抱く咲玖を見ながら、なんとも複雑な顔をしていることにもちゃんと気が付いている。

 まぁ大人なんだからちょっと我慢してね、と視線を送れば何事もなかったようにパッと表情を戻したから、ついまた笑ってしまった。

 横にいたマティアスが吹き出していたのが聞こえたから、そちらにもバレバレのようだ。


 泣き止む様子のないヴィクトルを王太子妃に受け渡し、いよいよ馬車に乗り込もうとしたとき、唐突に周囲がざわめいた。なにか振り返ると、そこはなんとアーデベルトの姿が。

 ざわめく周囲をよそに以前と変わらない無表情のまま歩み寄るアーデベルトに、ラインハルトもあからさまな警戒は見せないように装ってはいるが、纏う空気が固くなっている。

 でも、咲玖にはアーデベルトの前と変わらない表情の中に、どこか吹っ切れたようなものを感じた。

 だから、あえて咲玖を背に隠そうとするラインハルトの前に出た。


「殿下、見送りに来てくれたんですか」


 そう咲玖が声をかけると、アーデベルトは驚いた顔をした。

 まぁ前にアーデベルトと話したときはかなり強めに啖呵を切ったし、憎まれていると思っていて当然だろう。

 でも、せっかくアーデベルトの方から来てくれたのだ。このまま胸に靄を抱えたまま帰るよりはいいだろうと、咲玖は思っていたことをぶつけてやることにした。


「どうです? 俺とライの覚悟は伝わりました?」


 いたずらっぽくにいっと笑って見せると、アーデベルトはまた眼を丸めた後、眉を下げてふうっとため息を零した。呆れたような表情はどこか柔らかくて、やはりどこか以前とは違うように見える。


「あぁ。痛いほどにな」


 決闘では最後に脇腹へ強烈な一打、さらに、アーデベルトが咲玖の匂いに中てられた際には鳩尾に容赦ない一発を食らわせた、とラインハルトがしれっと言っていた。

 咲玖としては「うわぁ」っと思ったのだが、どれも咲玖のためにラインハルトがしたことなのだから何も言えない。

 そんな嫌味ともとれるアーデベルトの言葉を受けて、ちらりとラインハルトを見上げてみたが、やはり何でもないように涼しい顔をしている。いや、ちょっとざまあみろ、って思ってそう。

 思わずふふっと笑みがこぼれた。


「あれから兄上、王太子殿下にこってり絞られてな。いろいろ考えて、自分自身を見返すよい機会になった。礼を言う」


 礼をいわれても、そんな自分探しにまきこまないで欲しかったというのが正直な感想ではあるが、アーデベルトの表情は晴れやかで、笑みも今まで見たわざとらしいものではなく自然に見える。これなら“桜の王子様”の二つ名も十分似合いだ。

 だから、柔らかく笑んだまま差し出されたアーデベルトの手を何の疑いもなく握り返してしまった。


「「あっ!」」


 そうして握られた手を急に引かれ、身構えようとしたときにはすでにアーデベルトの唇が咲玖の頬に触れた後だった。

 それに驚いたの咲玖だけではない。アーデベルトと咲玖のやり取りを心配そうに見ていたラインハルトも、その横にいた王太子夫妻も、周囲の護衛たちも、驚きの声を上げた。


「サク、もし公爵に嫌気がさしたらいつでも王宮に来るといい。歓迎する」


 驚きのあまりそのまま硬直していた咲玖に向けたアーデベルトの笑みは妖艶と表現するのがぴったりで、そんな吹っ切れ方はして欲しくなかったなぁと口の端をひきつらせていると、今度は急に後ろへと体が引かれ、足が宙に浮いた。


「そんなこと起こりえませんので!」


 咲玖を抱え上げ、頬をごしごしと服の袖でこするラインハルトにそのまま馬車へと押し込まれ、思わず咲玖は大きく笑った。


 こうして、予想外の出来事ばかりとなった王宮への滞在は終わりを告げた。




 季節は巡り、秋風に金木犀の香りが揺らめくオスマンサス公爵家の中庭。随分となれ親しんだその場所で今、咲玖は緊張した面持ちで正面に立つラインハルトと両手を取り合っていた。

 秋晴れの空から降り注ぐ優しい日差しが二人の薬指に光る指輪を照らしている。

 これは今行われている結婚宣誓式を控え、咲玖がオットーに頼んで探してもらった鍛冶屋で作ってもらい、昨夜ラインハルトに贈ったものだ。

 こちらの世界は信仰の対象が天地に広がるといわれる世界樹であるため、咲玖のいた世界にあったような神様を祀る教会や神殿のようなものが存在しない。

 そのため、貴族の結婚は王族が許可を出し、それぞれの屋敷で宣誓式を行うという。

 だから、咲玖の知識にあったような教会での誓いのキスや指輪の交換、はたまたケーキ入刀やブーケトスなんてものもない。

 別に結婚式や披露宴に憧れがあったわけではないが、何よりもラインハルトにはもらってばかりいるから、せめてなにか贈りたいと考えた時に思い付いたのが指輪だった。

 昨夜、二人っきりの寝室で用意した指輪を見せ、咲玖の世界でこの指輪が持つ意味を話したとき、ラインハルトは泣き出すのではないかと思うほどに喜んでくれた。

 互いにその指輪をはめ、一生外さない、としてくれた口づけはまるで結婚式でする誓いのキスのようだった。


 そうして二人だけで誓い合い、一夜明けた今は招待客の前で世界樹に誓いを立てる結婚宣誓式の真っ最中である。

 式を前に公爵邸に戻ってきたラインハルトの両親である前公爵夫妻。そして、フォレド王国の王族代表として招待したユーリとその従者であるカイ。ベラーブル王国の王族代表としては王太子がヴィクトルと二人で参加している。王太子妃は今ご懐妊中でお留守番とのことだ。それからラインハルトと縁のある貴族の方々もたくさん。

 そんなそうそうたる顔ぶれの前で、咲玖は心地よい秋風が吹く季節だというのに汗が止まらないほど緊張していた。

 宣誓式は、その名の通り結婚を宣誓し、世界樹に互いへの愛を誓うのだが、それだけと言っても人に注目されるということに慣れていない咲玖にとっては一大事だ。

 落ち着こうと一つ深呼吸をし、前に立つラインハルトを見る。白いタキシードに身を包んだラインハルトは、秋陽に照らされ眩しいほどに美しい。咲玖もそろえの衣装を着ているが、輝きが違う。

 こんな美しい人と結婚するのかと今更ながらに思ってしまう。

 つい見とれていると、くすりと笑いながらラインハルトが咲玖の耳にそっと顔を寄せた。


「そんなに甘い香りを漂わせていては、食べたくなってしまうよ」


 以前、ラインハルトに汗をかいたり、血を流ししたりすると甘い香りが強くなると言われていた。そのことをはっと思い出し、思わず赤面した。

 でも体温が上がるとまた汗をかいてしまい、香りも強くなる。その悪循環についラインハルトをじっと睨んだ。だってきっと、この咲玖の美しい伴侶はそうなることがわかっていたのだろうから。


 少し意地悪なときもあるけど、優しくて、愛をくれる人。

 心から愛しい人。

 その両手をぎゅっと握り、咲玖は大きく息を吸った。


「私、蓮見 咲玖は伴侶となるラインハルト・フォン・オスマンサスを支え、共に歩み、生涯愛することを世界樹に誓います」

「私、ラインハルト・フォン・オスマンサスは、伴侶となる蓮見 咲玖を護り、喜びを分かち合い、生涯愛することを世界樹に誓います」


 二人の宣誓とともに大きな拍手と歓声が秋空に響く。その瞬間、二人の頭上で陽光がはじけ、光の粒が舞い降りた。


「なにこれ?!」


 その光に再びわっと歓声が沸き上がる。


「これは、まさか世界樹の祝福か…? 話には聞いたことはあったが、本当にあるのだな」


 どうやら、この光は世界樹が結婚を祝福してくれる、こちらの世界でもまれな現象らしい。


「世界樹の祝福を授かった結婚には幸せが訪れると言われている」

「へぇ、そうなんだ」

「あまり興味なさそうだね?」


 ついそっけなく答えてしまったが、そういうわけではない。

 天から降り注ぎ、地に還っていく光はまさに世界樹の存在を知らしめているようで、その“異世界っぽさ”に咲玖は割と興奮している。

 でも、それのおかげで『幸せになれる』とは思わない。


 もう慣れ親しんだ公爵邸の中庭にある木々たち、そして、そこに集う人々。

 何より、今横にいるラインハルトが咲玖に幸せをくれているのだから。


「ライ、そろそろパーティ始めよう!」


 咲玖はラインハルトの手を引き、中庭の奥へと走り出した。

 そこにはこれから始まるパーティのために用意された軽食やお菓子がたくさん並べられている。

 その中心には、五段も重なった大きな丸いケーキが飾られ、飲み物には生クリームがたくさん乗ったコーヒーのフラッペ。それから、金木犀の砂糖漬けが乗った小さなチョコレートに家の形をしたクッキーも。

 どれもこれも、甘いものが好きな咲玖のためにラインハルトが用意してくれたものだ。


「わぁ、すっごいご馳走…!」


 相変わらずラインハルトはこうして咲玖に何でも与えたがり、甘やかす。

 いつもなら、ほどほどに、と言うところだが、今日はパーティなのだから、何も言うまい。

 咲玖はラインハルトにそっと寄り添い、ありがとう、と囁いた。


「これくらい、かわいい伴侶のためならお安い御用だ。それに、私にとってはきみが一番のご馳走だからね」


 優しい重低音に色気をまとわせるのは本当にずるい。きっとまた顔が真っ赤になっているだろう。

 いつかこれに慣れる日は来るんだろうか、と思いながら、咲玖はラインハルトの首に腕を回し、唇を重ねた。


「いくらでも召し上がれ」


 珍しく顔を赤らめたラインハルトに、もう一度キスをする。すると、周囲から沸き上がった拍手の音と歓声耳に入った。


 ――あっ、人がいること忘れてた……!


 人前でキスをするなど、これまでは考えられなかった。そもそもキスをすること自体がありえないと思っていたのに。

 随分と変わった自分に驚いてしまう。

 でも、きっとこれはいい変化だ。


 ケーキとして生まれた咲玖の運命は、捕食者フォーク被食者ケーキが存在するこの世界に招かれた時からもう決まっていた。

 いつ何時も幸せに暮らし、愛した人に食べら愛される。それが咲玖ケーキの運命。



『ケーキの俺は異世界でスパダリ公爵様に溺愛されている』



 ~fin~

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