『俺達のグレートなキャンプ134 暴走したサイボーグ猪を倒すぞ』

海山純平

第134話 暴走したサイボーグ猪を倒すぞ

俺達のグレートなキャンプ134 暴走したサイボーグ猪を倒すぞ


「よーし!今回のキャンプも最高にグレートにするぞー!」

石川は両手を高々と上げ、秋晴れの空に向かって叫んだ。その声は山間のキャンプ場に響き渡り、近くでテントを設営していた家族連れが一瞬手を止めてこちらを見る。石川は全く気にせず、持ってきた大きなダンボール箱をドンッとテーブルに叩きつけた。

「石川さん、今回は何するんですか?」

千葉が目をキラキラさせながら箱を覗き込む。キャンプを始めてまだ半年だが、石川の突飛な企画にすっかり魅了されている様子だ。前回の『焚き火で即興演劇大会』も、前々回の『テントの中で砂浜を再現してビーチパーティー』も、千葉にとっては最高に楽しい思い出になっていた。

「ふふふ...今回はね...」

石川がニヤリと笑う。その笑みを見た富山が、手に持っていたペグを落としそうになる。

「ちょ、ちょっと待って。その顔は...またとんでもないことを考えてるでしょ」

富山が警戒心全開の表情で石川を見つめる。長年の付き合いで、石川のその表情が「やばい企画」の前触れだと知っているのだ。額には早くも冷や汗が浮かんでいる。

「大丈夫大丈夫!今回は超エキサイティングだよ!じゃーん!」

石川がダンボール箱を開けると、中から銀色に光る何かが見える。千葉が身を乗り出すと、そこには段ボールで作られた銀色のパーツがびっしりと詰まっていた。よく見ると、猪らしき形の頭部、機械的な装飾が施された胴体、そして赤く光るLEDライトまで付いている。

「これは...猪?」

「正解!でもただの猪じゃない!」

石川は得意満面の笑みを浮かべ、箱から一枚の紙を取り出した。そこには手描きのイラストと共に、こう書かれていた。

『第134回グレートキャンプ企画 暴走サイボーグ猪討伐作戦!』

「サイボーグ猪...?」

千葉が首を傾げる。

「そう!この平和なキャンプ場に突如現れた暴走サイボーグ猪!我々キャンパーは力を合わせてこの脅威を倒さなければならない!というロールプレイ型キャンプアクティビティだ!」

石川の説明に、千葉の目がさらに輝く。

「すっごい面白そうじゃないですか!」

「でしょでしょ!?見て、この猪の造形!先週徹夜で作ったんだよ!段ボールとアルミホイルで本格的なサイボーグ感を出してさ!LEDライトは赤と青の二色で、暴走モードと通常モードを切り替えられるの!しかもね、中にはスピーカーも仕込んであって、効果音も流せる!『グォォォン!』とか『ピピピピッ!』とか!」

石川が嬉しそうに説明する間、富山はテントのポールを握りしめたまま固まっていた。顔は青ざめ、口はわずかに開いたまま、まるで時間が止まったかのようだ。

「と、富山さん?大丈夫ですか?」

千葉が心配そうに声をかける。

「...大丈夫じゃない」

富山がようやく口を開く。その声は震えていた。

「石川、聞いて。いつもの何倍もやばいよこれ。段ボールの猪を『暴走サイボーグ』って言い張って、何?討伐するの?ここ、普通のキャンプ場だよ?周りに家族連れもいっぱいいるよ?私たち、大の大人が段ボールの猪を追いかけ回すの?しかもサイボーグって...」

富山の言葉に、石川は「うんうん」と頷きながら聞いている。まるで「よくぞ理解してくれた!」と言いたげな表情だ。

「そう!それが面白いんじゃないか!想像してみてよ富山!静かなキャンプ場に突如現れる銀色の猪!『ピピピピッ!システムエラー!暴走モード起動!』って効果音と共に赤いLEDが点滅してさ!それを勇敢なキャンパー達が力を合わせて倒す!最高にグレートでしょ!?」

「最高に恥ずかしいの間違いでしょ!」

富山が叫ぶ。その声に、また近くのキャンパーがこちらを見る。富山は慌てて頭を下げた。

「でもさ、富山さん」

千葉が口を挟む。その表情は真剣だ。

「どんなキャンプも一緒にやれば楽しくなりますよ!石川さんの企画、いつも最初は『えっ?』って思うけど、やってみたら絶対楽しいじゃないですか!前回の演劇大会だって、最終的には隣のサイトの大学生グループも参加してくれて、めちゃくちゃ盛り上がったし!」

「そうそう!千葉は分かってるね!」

石川が千葉の肩をバシバシと叩く。千葉も嬉しそうに笑っている。

富山は深いため息をついた。確かに、石川の突飛な企画はいつも最終的には楽しい思い出になる。でも毎回、その「最終的に」にたどり着くまでのハラハラドキドキと恥ずかしさがすごいのだ。

「...分かったよ。でも、絶対に他のキャンパーさんに迷惑かけないでよね。あと、夜中はダメだからね。明るいうちだけだよ」

「やったー!富山が折れた!」

石川と千葉がハイタッチする。その様子を見て、富山は「本当に大丈夫かな...」と心の中で呟いた。

「じゃあ早速準備しよう!まずはサイボーグ猪の組み立てからだ!」

石川がダンボール箱から次々とパーツを取り出す。銀色のボディパーツ、機械的な装飾のついた足、そして目玉の部分には本当にLEDライトが埋め込まれている。その精巧さに、千葉は感嘆の声を上げた。

「うわぁ、本当にすごい!石川さん、これ全部手作りなんですか?」

「そうだよ!特にこの頭部の部分、見て!牙の部分には釘みたいな装飾をつけて、より危険な雰囲気を出してみた!もちろん段ボールだから安全だけどね!」

三人でサイボーグ猪を組み立て始める。石川が設計図(手描き)を見ながら指示を出し、千葉が部品を渡し、富山が組み立てる。まるで本物の兵器でも作っているかのような真剣さだ。

「次は胴体部分!ここにスピーカーを仕込むからね!Bluetooth接続で俺のスマホから効果音を流せるようにしてある!」

「石川さん、準備周到すぎません?」

「当たり前でしょ!グレートなキャンプに妥協は許されないからね!」

三十分ほどで、サイボーグ猪が完成した。全長約一メートル、高さ七十センチほどの銀色の猪が、テーブルの上で鎮座している。LEDライトを点灯させると、赤い目が不気味に光り、なかなかの迫力だ。

「おぉ...!」

千葉が感動の声を上げる。富山も、内心「確かにちょっとすごいかも」と思いながら、表情には出さないようにしている。

「さあ、次は武器の準備だ!」

石川が再びダンボール箱に手を伸ばす。今度取り出したのは、段ボールで作られた剣や槍、そして盾だ。これもまた、アルミホイルや色画用紙で装飾されており、なかなかの出来栄えだ。

「この剣はエクスカリバー風に作ってみた!この槍は三国志の青龍偃月刀をイメージしてね!あ、この盾は...まあ普通の盾だけど!」

「全部段ボールなんですよね?」

「もちろん!エコでグレートでしょ!?」

石川の説明を聞きながら、富山はチラチラと周囲を見回す。幸い、まだ他のキャンパーは自分たちのサイトで過ごしており、こちらの様子には気づいていないようだ。でも、これから始まる「討伐作戦」では絶対に注目を集めてしまう。富山の胃がキリキリと痛む。

「よし!準備完了!それじゃあ作戦会議だ!」

石川が三人を集めて、テーブルに紙を広げる。そこにはキャンプ場の簡易地図が描かれており、×印やら矢印やらがびっしりと書き込まれている。

「まず、サイボーグ猪は管理棟の裏から出現する設定にしよう。そこから炊事場を経由して、我々のサイトに向かってくる。我々はこの木の裏に隠れて待ち伏せし、一気に攻撃を仕掛ける!」

「待って待って」

富山が手を上げる。

「管理棟の裏って、管理人さんの目があるよね?炊事場も人がいるし。本当にそのルートでいいの?」

「大丈夫大丈夫!むしろ人目があった方が盛り上がるって!」

石川の言葉に、富山は頭を抱える。

「じゃあ俺、サイボーグ猪を操縦しますね!」

千葉が手を上げる。

「よし!千葉は猪役ね!俺と富山で討伐する側をやろう!あ、でも待って。猪を動かすのって結構大変だよ?中に入って動かすから、視界も限られるし」

「大丈夫です!どんなキャンプも一緒にやれば楽しくなる、ですから!」

千葉の意気込みに、石川は満足そうに頷く。

「その意気だ!じゃあ千葉、このリモコンも持って。これでLEDと効果音を操作できるから。暴走モードにする時は赤いボタン、通常モードは青いボタンね」

「了解です!」

千葉がサイボーグ猪の中に入る準備を始める。猪は段ボール製なので比較的軽く、千葉が中に入って持ち上げられる構造になっている。まるで獅子舞のような仕組みだ。

「富山、お前はこの剣を使って!俺は槍で行く!」

石川が段ボール製の武器を配る。富山は剣を受け取りながら、「本当にこれをやるのか...」という表情だ。

「よし!それじゃあ作戦開始だ!千葉、準備はいいか!?」

「バッチリです!」

猪の中から千葉の声が聞こえる。LEDが青く光り、「ピピピピッ...システム起動」という機械音がスピーカーから流れる。その音に、ついに近くのキャンパーがこちらを注目し始めた。

「あ、あの...何してるんですか?」

隣のサイトの若い男性が声をかけてくる。富山は「来た...!」と思いながら、慌てて説明しようとするが、石川が先に答える。

「やあ!これからサイボーグ猪討伐作戦を開始するんですよ!良かったら見ていってください!」

「サイボーグ猪...?」

男性が困惑した表情で猪を見る。

「そう!この平和なキャンプ場に突如現れた暴走サイボーグ猪を、我々キャンパーが力を合わせて倒すんです!エキサイティングでしょ!?」

石川の説明に、男性は「はあ...」と曖昧な返事をする。その後ろから、男性の彼女らしき女性が顔を出す。

「なにそれ面白そう!私も見たい!」

「ちょ、ちょっと...」

男性が止めるのも聞かず、女性がこちらにやってくる。さらに、その様子を見ていた家族連れの子供も「なになに?」と集まってくる。

「お父さん、あれ何?猪?」

「ロボットみたい!」

子供たちの声に、富山の顔が真っ青になる。石川は逆にニコニコと笑っている。

「よーし!観客も増えたことだし、盛大にやろう!千葉、行くぞー!」

「了解ですー!」

猪の中から千葉の声。突然、LEDが赤く点滅し始め、「グォォォン!警告!システム暴走!警告!」という効果音が大音量で流れる。

「うわぁ!光った!」

「音すごい!」

子供たちが歓声を上げる。その瞬間、千葉が猪を動かし始めた。

「グォォォォン!」

千葉の迫真の声と共に、サイボーグ猪がカクカクとした動きで走り出す。目指すは管理棟方向だ。

「待て、暴走サイボーグ猪!」

石川が段ボール製の槍を構えて追いかける。富山は一瞬躊躇したが、もうここまで来たらやるしかない、と覚悟を決めて剣を持って走り出した。

「石川!私、本当にこれやるの!?」

「当たり前だろ!グレートなキャンプに逃げ道なしだ!」

二人がサイボーグ猪を追いかける姿は、傍から見るとなかなかシュールだ。大人が段ボールの武器を持って、段ボールの猪を追いかけている。しかし、子供たちには大ウケだった。

「頑張れー!」

「猪倒せー!」

子供たちの声援に、石川のテンションがさらに上がる。

「見たか!子供たちが応援してくれてる!これぞグレートキャンプの真髄だ!」

「それはそうだけど...!」

富山が走りながら周囲を見ると、すでに多くのキャンパーがこちらを注目している。中には笑っている人、首を傾げている人、呆れている人、様々だ。管理人さんも管理棟から出てきて、何が起きているのか確認している。

「あの、すみません!すぐ終わりますから!」

富山が管理人さんに向かって頭を下げながら叫ぶ。

「グォォォン!捕まらないぞー!」

千葉が猪を操りながら炊事場方面へ逃げる。その動きは意外と素早く、石川と富山は息を切らしながら追いかける。

「速い!千葉、お前運動神経良かったんだな!」

「石川さん、この猪意外と重いんですけど!でも楽しい!」

千葉の声に疲労の色が見えるが、それでも楽しそうだ。

炊事場に差し掛かったとき、そこで食材を洗っていた中年女性グループが驚いて振り返る。

「キャー!何!?」

「大丈夫です!これは演技です!キャンプのアクティビティです!」

富山が必死に説明する。

「グォォォン!」

サイボーグ猪が炊事場の前を通過する。女性たちは最初驚いていたが、状況を理解すると笑い始めた。

「あら、面白いわね!」

「若い子たちは元気ねぇ!」

その反応に、石川はさらに調子に乗る。

「ふはははは!逃がすか!必殺、エクスカリバーアタック!」

石川が槍(段ボール製)を振り上げる。もちろん当てるつもりはない。あくまで演技だ。

「くらえ!」

「グォォォン!」

千葉が猪を左右に揺らしながら「攻撃を回避した」演技をする。その動きに、周りの観客(いつの間にか増えていた)から笑い声が起こる。

「よし、富山!挟み撃ちだ!」

「え、ちょっと!」

富山が戸惑う間に、石川は猪の右側から、富山は左側から近づく体勢になる。

「これで終わりだ!せーの!」

「待って、本当に当てるの!?」

「当てるわけないでしょ!演技!演技だよ!」

二人が同時に武器を振る。千葉は「やられたー!」と叫びながら、ゆっくりとサイボーグ猪を倒した。LEDが赤からピンク色に変わり、「システム...停止...」という効果音が流れる。

「やったー!」

石川が勝利のポーズを取る。すると、周りから拍手が起こった。子供たちは「すごーい!」と歓声を上げ、大人たちも笑顔で拍手している。

「すごいですね!面白かった!」

「子供が喜んでますよ!」

「写真撮らせてください!」

次々と声をかけられ、石川は得意満面の笑みだ。千葉も猪から出てきて、汗をかきながらも嬉しそうに笑っている。

「ね、楽しかったでしょ!?」

石川が富山の肩を叩く。富山は疲れ果てた表情で、でもどこか満足そうに笑った。

「...まあ、ね。子供たちが喜んでくれたし」

「でしょでしょ!これぞグレートキャンプ!」

その後、サイボーグ猪は子供たちの人気者になった。写真撮影に何度も呼ばれ、石川は猪の仕組みを説明したり、子供たちに武器を持たせて記念撮影したりと大忙しだ。

「お兄さんたち、この猪すごいですね!手作りなんですか?」

若いカップルの男性が声をかけてくる。

「そうなんですよ!段ボールとアルミホイルで作りました!LEDライトとスピーカーを仕込んで、よりリアルな感じにしてみたんです!」

石川が嬉しそうに説明する。千葉も「中に入って操作できるんですよ!」と補足する。

「すごい!俺たちもやってみたい!」

「いいですよ!良かったら今度一緒にやりましょう!」

石川と千葉が盛り上がる中、富山は少し離れたところでテントの前に座り、温かいコーヒーを飲んでいた。周りを見渡すと、先ほどまでの騒ぎが嘘のように、キャンプ場は穏やかな雰囲気に戻っている。でも、あちこちで「さっきの猪面白かったね」という声が聞こえてくる。

「富山さん、疲れました?」

千葉が隣に座る。

「うん、まあね。でも...楽しかったよ、うん」

富山が素直に認める。千葉が笑顔になる。

「ね、石川さんのキャンプって、最初は『えっ!?』って思うけど、やってみると本当に楽しいんですよね」

「そうね...毎回振り回されるけど、最終的にはいい思い出になるのよね」

「どんなキャンプも一緒にやれば楽しくなる!ですよ!」

千葉の言葉に、富山もクスッと笑う。

「そうだね。石川のテンションについていくの大変だけど、それも含めて楽しいのかもね」

二人がそんな会話をしていると、石川が戻ってきた。相変わらず満面の笑みだ。

「いやー、大成功だったね!子供たち超喜んでくれたし、大人の人たちも笑顔だったし!これぞグレートキャンプだよ!」

「石川さん、次は何するんですか?」

千葉が目を輝かせて聞く。富山は「まだやるの!?」という表情だ。

「ふふふ...実はね、夜の部も用意してあるんだよ」

「夜の部!?」

「そう!サイボーグ猪は倒したけど、実は仲間がいたという設定!今度は『サイボーグ狸』が登場する!」

「待って待って!」

富山が立ち上がる。

「サイボーグ狸!?まだやるの!?しかも夜!?」

「もちろん!LEDライトがより映えるからね!それに暗闇の中で光る目って、めちゃくちゃ雰囲気出るじゃん!」

石川の説明に、千葉は「すごい!」と感嘆し、富山は頭を抱える。

「石川...お願いだから、せめて夜は静かにしようよ。さっきはたまたま昼間で、子供たちがいたから盛り上がっただけで...」

「大丈夫大丈夫!さっき話した家族のお父さんが『夜もやるなら見に行きます』って言ってくれたよ!」

「本当に!?」

富山の言葉を無視して、石川は再びダンボール箱から狸の部品を取り出し始める。千葉も「手伝います!」と意気揚々と参加する。

富山はため息をつきながら、二人の様子を見守る。「本当に大丈夫かな...」という不安はあるけれど、でも石川のキャンプはいつもこうだ。最初は不安だらけで、途中ハラハラドキドキで、でも最後には笑顔になっている。

「...仕方ないな。私も手伝うよ」

富山が立ち上がって二人に近づくと、石川が嬉しそうに笑った。

「やった!富山も参加だ!じゃあこの狸の尻尾部分、組み立ててくれる?」

「はいはい、分かったよ」

三人でサイボーグ狸の組み立てを始める。陽が傾き始めたキャンプ場に、また三人の笑い声が響く。

「しかしさ、石川」

富山が組み立てながら聞く。

「134回目って、本当にこういうキャンプを134回もやってきたの?」

「当たり前じゃん!記録は全部ノートにつけてあるよ!第一回は『焚き火でマシュマロを100個焼く』、第二回は『テントの中でプラネタリウム上映会』、第三回は...」

石川が指を折りながら説明し始める。その話を聞きながら、千葉は「へぇー!」と感心し、富山は「私、半分以上付き合ってるのよね...」と遠い目をする。

夕暮れ時、キャンプ場に焚き火の明かりが灯り始める。石川たちのサイトでも、焚き火を囲んで夕食の準備が始まる。

「今日の夕飯はカレーだ!グレートキャンプには、グレートなカレーが必要だからね!」

石川が大きな鍋でカレーを作り始める。野菜を切る千葉、米を炊く富山、それぞれが役割を持って動く。

「石川さん、さっきの猪討伐、めちゃくちゃ楽しかったです!まさかあんなに盛り上がるとは!」

「だろ?これぞ『奇抜でグレートなキャンプ』の真髄だよ!普通にキャンプするだけじゃつまらないからね!」

「でも、毎回こんなに派手にやってたら、キャンプ場出禁にならない?」

富山の質問に、石川は「あはは!」と笑う。

「実は三ヶ所ほど出禁になってるんだよね」

「マジで!?」

千葉が驚く。

「まあ、あれは仕方なかったんだよ。第87回の『テントをお化け屋敷にする』企画で、ちょっと夜中に騒ぎすぎちゃって...」

「ちょっとじゃなくて、だいぶでしょ」

富山がツッコむ。

「あはは、まあね。でもそれも含めていい思い出だよ!」

カレーが出来上がり、三人で焚き火を囲みながら食べる。温かいカレーと、秋の涼しい空気が心地いい。

「美味しい!」

「石川さんのカレー、いつも最高ですね!」

千葉が感動しながら食べる。石川も満足そうに頷く。

「キャンプのカレーは特別に美味いからね!それにしても今日はいいキャンプだったな」

「まだ終わってないでしょ。これから『サイボーグ狸』が来るんでしょ?」

富山の言葉に、石川がニヤリと笑う。

「そうだった!よし、カレー食べ終わったら準備しよう!」

食事を終え、片付けも済ませた頃には、すっかり暗くなってい

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『俺達のグレートなキャンプ134 暴走したサイボーグ猪を倒すぞ』 海山純平 @umiyama117

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