赤い宝石を掘り出した男

机カブトムシ

飴玉のような赤い宝石

 男は、赤美しい大きな飴玉のような宝石の塊を掘り出した。その宝石は火にくべると灰になり、再び火にくべると赤い宝石に戻った。

 

 そのような性質があるので、男はそれを不死の薬にできると思って試しに一度粉にして飲んでみた。


 しばらくすると、男の体の表面に宝石のような膜ができる。


 男は大層喜んだし、元気になった。調子のよくなった男は良く働き、村の者達からも頼りにされた。


 しかし、しばらくすると膜は薄くなり消えてしまうので男はそのたびに粉末を飲むようになった。


 男は度々宝石を削っては飲むのを繰り返した。


 村の者達はその間に数世代を経たので、その宝石が不死の薬だろうと男は信じて止まなかった。


 男はある時宝石の中心に影があることに気が付く。男はそれをより強い薬だと思った。


 しかし割ってしまうのも勿体ないが、一人で消費していてはどうにも時間がかかる。


 男は思案して、その宝石の粉を売ることに決めた。


 各国の豪商や王がこぞってその不死の薬を買い求め、男の手元には山を幾つも変えるほどの金が舞い込む。


 随分時間が経って、宝石の中の影がなんだか男ははっきりとわかるようになった。


 そこには、文字が書いてある。


「あたり! 店頭で交換できます」


 男はその文字を読むことが出来なかった。



 ずっと高くで話をしている者たちが居た。

「あの落としたアイスがあたりだったらどうしようか」

「無理だよ。あの星で何万年たったと思ってるんだ。きっと分解されてる」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

赤い宝石を掘り出した男 机カブトムシ @deskbeetle

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ