恐怖のデス伝言ゲーム

ちびまるフォイ

詰めが甘いデスゲームマスター

「ククク。目が覚めたようだな」


「こ、ここは……!?」


「君たちにはこれから恐ろしいゲームに参加してもらう。

 名付けて伝言デスゲーム!!」


密室に集められた男女がお互いの顔を見合わせた。


「君たちには全員、私と同じ首輪がつけられている。

 コレだ。見えるかな?」


「なによこれ!? はずれないわ!?」


「無理に外さないほうがいい。それは爆弾だ。

 力を加えたり、SNSでクソリプしたりすると爆発する。

 首から上がふっとぶ強力な爆弾だ」


「ひっ……!」


「だが君たちが助かる方法がひとつだけある。

 これから始まる恐怖の伝言ゲームをクリアすることだ」


ゲームマスターがスイッチを押すと、全員が1列に並ばされた。


「最後の回答者は私のところまできて、

 最後に耳打ちされた伝言を私に伝えてもらう。

 

 もしその伝言があっていれば全員の首輪は外れる。

 ただし1文字でも間違っていたら……ボン。爆発だ」


デスゲーム参加者が息を飲む。

けして失敗のできない伝言ゲーム。


「それと、下手な細工はしないほうがいい。

 聞こえないふりをして何度も聞き返したり、

 回答時にハッキリ言わないでごまかしたりすると、

 おしりに取り付けている爆弾が爆発する」


「えそっちも!?」


「おしりのクッション性を失いたくないだろう?

 ルールを守って、正しく伝言ゲームをすることだな」


ついに恐怖のデス★伝言ゲームがはじまった。

列の最初にいる人がゲームマスターからじきじきに伝言を見せられる。


最初のひとは困惑したような顔で何度もたしかめ、

けして間違えないように2人目へと耳打ちした。


それが2人目、3人目、4人目と続々と続いていく。


そして、最終回答者である50人目のところまで伝言がたどり着いた。


49人目は意を決して50人目に耳打ちする。


(ゴニョニョゴニョ)


「……え?」


(ゴニョニョゴニョ)


「……本当に?」


(ゴニョニョゴニョ!)


「それであってる?」


(ゴニョニョゴニョ!!!!!)


なかなか50人目に伝わってくれない。

しかし身振り手振りは禁じられている。

言葉以外のコミュニケーションはできない。



「時間だ。それ以上は伝言禁止だ」



49人目と最終回答者の間に仕切りが飛び出した。

もう耳打ちすることはできない。


「ククク。それでは回答を聞こうじゃないか。

 ……ふふ、その顔だよその顔。

 他人に自分の命を握らせる恐怖の表情。

 このデスゲームではそれが見たかったのだ!」


ですゲームマスターは用意された玉座に座ってスタンバイ。

50人目の最終回答者は玉座に向かって歩き出した。


「答えは?」


そしてゲームマスターの耳元で伝えられた伝言を、

1文字も間違うことなくゲームマスターへと回答した。




「ゲームマスターをやっつけてみんなで脱出しよう。

 回答時には油断してるから、そのとき捕まえてね ……です!!」




最終回答者は49人目の伝言をちゃんと正しくゲームマスターへと伝えた。



「ぜんぜん違うわーー!!」



デスゲームマスターはスイッチを押した。

密室にいる全員の首輪が爆発した。


あとに残ったのは51人の死体だけだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

恐怖のデス伝言ゲーム ちびまるフォイ @firestorage

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ