第4話ーその後


「エマ・オブ・クリス!お前を今ここで、追放する!」


そう言い放ったのは、ウィルの父親。


もちろんそれを想定していたので、私は平然とした態度で


「あら、そうですか。大臣様、その話、承知いたしましたわ。それではみなさん、さようなら」


青色のドレスをふわっと翻して、一度出口を向いた私はもう一度その場にいた令嬢、侯爵たちを見て、


「ああ、そうだ。キャサリン、お幸せにね」


リアムの腕の中にいるキャサリンに向かって、嫌みいっぱいの言葉と笑顔をを向け、舞踏会を後にした。


* * *


その後、あの国から遠く離れたところでひっそりと暮らしていた私は、久しぶりにキャサリンたちに手紙を書くことにしたけど、やっぱりやめた。


そのことを忘れようと散歩に出かけた私の木製の机から、小汚い紙にたった数行しか書かれていない紙が、風に飛ばされてはらりと落ちた。


『拝啓


春風が心地よい季節になってまいりましたが、いかがお過ごしでしょうか。


リアムとは仲良くしていますか。ほかのみなさんは元気にやってますか。











                会いたいよ、みんな            』


手紙の最後に書かれた殴り書きのような文字は、涙で少し滲んでいた。

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ヒロインに転生しましたが、推し(悪役令嬢)のために悪役になります! かふぇらて @mk-sue_1109

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